shin-1さんの日記

投稿者: | 2007年6月25日

○一宿一飯一夜の宿・大月町ルポ③

 研修会と夕食交流会を終えた私と山本さんは、迎えに来た山本さんの奥さんの車に乗って夜の道をお宿となる山本さん宅へ向かいました。夜のことゆえ何処をどう走ったかは分りませんが、海岸沿いの曲がりくねった道を走ったような雰囲気で約20分走り、午後9時ころに到着しました。奥さんはかつて山本さんと同伴でわが家へ手土産を持って来られたことがあるので凛とした懐かしい顔は直ぐに思い出しました。こうして旅を続けていると、かつての私がそうであったように、一宿一飯の恩義に甘んじなければならず、緊張と恐縮な気持ちが入り混じりましたが、ここは仕方がないとあきらめて山本さんの家族に甘える事にしました。

 2人の子どもにも出会って声をかけ、山本さんと奥さんと3人で酒やお茶を飲みながら12時頃まで話しこみました。今日の研修会のこと、家族のこと、将来のこと、気がかりなこと、人生いかに生きるかなどなど、意の向くままにお互い他愛のない事を心を開いて話しました。特に道の駅を担当しての苦労話や道の駅の活性化については、私も経験者だけにノウハウをかなり突っ込んでアドバイスしましたし、教員をしている奥さんとは学校教育や家庭教育などについても、私の無人島経験、家庭の様子などを時には羽目を外しました。

 お風呂をいただいて明くる日の朝6時半の散歩を約束して床に就きましたが、長旅の疲れか毎日実行している就寝前15分の読書も持参した本のさわりの部分だけしか読めないほどに眠気をもよおし、外の静けさも手伝って早々と深い眠りについていました。毎日12時に就寝し朝4時に起床する習慣も随分慣れてはいるのですが片道4時間の運転と、3時間半の研修会、2時間の夕食交流会の連続はさすがにいい疲労をしたようです。

 嬉しい事に朝4時きっかりに目が覚めました。この日の朝はパソコンもないので久しぶりの朝読書です。失礼ながら部屋の電気をつけ津本陽の「開国」という本を読みました。この本は愛媛県中央青年の家の先生に貰った本です。少し難しい明治維新の歴史書ですが、貰った先生に今度会うまでには何とか読破したいと思って持ち歩いています。時代の流れが変ったとされる日本を震撼させた黒船の衝撃が「遠雷」「黒船」「彦根牛」「大獄」の4つに分類されて書かれている本です。大筋は幕末の動乱は米艦隊ペリー来航で幕を開けました。開国をめぐる幕閣、諸大名、朝廷の激しい対立、米総領事ハリスとの条約調印と将軍継嗣問題で強権を振るった大老井伊暗殺、徳川幕府崩壊の前夜いかなる暗闘と流血があったのか、現代に通じる指導者たちの苦悩と決断が生々しく描かれています。

 やがて30分もすれば外が明るくなりましたが、6時には朝の読書に一区切りをつけ、昨晩のかつて知ったる洗面所で顔を洗い身支度を整えました。山本さんも約束の6時半前に身支度を済ませて二階から降りてきたので二人で外に出ました。外は曇り空ながらすがすがしい朝です。思い切り深呼吸をして歩き始めました。

(海に向かって建つ山本さん宅、閑静な一軒家で辺りには隣近所の家がまったくないのです。)
(少し歩くと山本さん自慢の田んぼが見えてきました。青田の向こうに広がる海は何とも美しい光景でした。3歳でお父さんを亡くした山本さんはお母さんと共にこの田んぼを守り、工事に伴う圃場整備でこんな立派な田んぼに仕上げていました。勤めながら6反もの田んぼを守っています。

(田んぼの前に広がるプライベートビーチは海底が透き通って見えるくらい綺麗な海岸でした。都会の人が羨ましがるような雰囲気の海岸で海を遊び場に何か考えてみたいと直感しました。山本さんの未来の人生が見えてくるようでした。)
(どうです。この美田。思わずうっとりしました。田植えを終えた水面に映える夕日の残照は見てみたい光景です)

 心のこもった朝食をお母さんと4人でご馳走になりましたが、記念にと旅立ち前にお母さんと奥さんを外に連れ出し記念写真を撮らせてもらいました。

(家族の記念写真です。)

 最近心臓の手術をされたそうですが、何だか自分の死んだおふくろさんを思い出してしまいました。手に持っていたカバンからハーモニカを持ち出し、下手糞ながら「夕やけこやけ」「赤トンボ」「娘よ」の3曲をお礼のつもりでお母さんに吹いて聴かせました。お母さんは神妙な面持ちで拍手までしてくれました。嬉しかったですね。お元気でお過ごしください。奥さんとお母さんとに見送られ私は山本さんの運転する車でリアス式海岸の美しい景色を眺めながら次の目的地である柏島を目指しました。

 お茶を買うため迂回した奥まった道沿いに小学校と中学校が併設されている学校前を通りました。中学校は既に廃校になって、小学生も4人しかいないとか、ここにも間もなく廃校という過疎や少子化の悲劇がひしひしと忍び寄っているようで胸が痛みました。

  「お別れに 下手糞ながら ハーモニカ 吹いて拍手を いただき照れる」

  「一宿と 一飯いただき 後にする 一夜の宿の ほのぼの感じ」

  「若き頃 こうして人と 知り合って 今があるのか 思い出しつつ」

  「海沿いの 青田を渡る 風涼し 向こうに青い 海が開けて」 


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