〇突然変異のサツマイモ
妻が「お父さんの友だちは変な人が多い」と言うように、私の友だちには少し毛並みの違った生き方をしている人が多いようです。稲葉さんもその一人で、経営している自動車の修理工場を息子さんに任せ、自分は双海町の農地を購入して、自宅のある砥部町からわが町へ農業をしに通っているのです。初期のころ人間牧場の近くの私の所有する畑も貸していて、あちらこちらにこれでもかというほど手を広げて色々な作物を作り、まちづくり学校双海人や軽トラ市の常連さんとして、まちづくり活動にも参加してくれています。
一昨日私は里芋の種芋の保存方法を聞くべく稲葉さんに電話を入れると、「えっ!!」と耳を疑うように、「今は高知県越智町の畑でサツマイモを掘っています」と元気な声が返ってきました。何と稲葉さんは高知県まで触手を伸ばしているようで驚いてしまいました。その後芋畑から電話が入り「同じ茎に白芋と赤芋が交互についた珍しい芋を見つけた!!」と少し興奮した面持ちの一報が入り、「明日にでも見せに行きます」とのことでした。少し半信半疑で「どんな芋だろう」と頭の中で想像をめぐらせましたが、昨日の昼頃稲葉さんはナイロン袋に入れた、いわく因縁のサツマイモを持ってわが家に現れました。
ナイロンの袋から取り出したサツマイモは、稲葉さんから電話で聞いていたように、一つのツルに赤芋と白芋が交互についているのですから、突然変異かも知れないようで、高知県で長年サツマイモを栽培している、地主の方も初めて見たと言うのです。地元新聞のネタにでもなりそうな話題を、小雨で濡れないよう玄関先に座って大いに語り盛り上がりました。稲葉さんは一事が万事このように面白い人で、人のことをとやかく言えない私と、どっこいどっこいのところがあるようだと感心した次第です。
「類は友を呼ぶ」といいますが、私の元へは稲葉さんのように少し毛並みの違った人が集まって来ます。私たちから見ればむしろ私たちが普通で、他の人が変っているんだと感じています。それを裏付けるように私も若いころから相当変った生き方をしています。夕日なんぞに思いを寄せたり、無人島に20年間も子どもを連れて行ったり、自費で人間牧場などを造ってあっけらかんとしているのですから、一緒に住む妻でさえ開いた口が塞がらないといった雰囲気です。でもこれが自分流の人生の楽しみ方ですから、人が何と言おうと多分死ぬまでこの生き方は変わらないし、変った生き方の友達も沢山集まって来ることでしょう。「面白きこともなき世を面白く すみなすものは心なりけり」です。
「今どこに いるのと電話 尋ねたら 高知越智町 芋を掘ってる」
「白と赤 ひとつの茎に サツマイモ 見せに行くから 興奮気味に」
「持参した 突然変異の サツマイモ 玄関先で 大いに話す」
「変わり者 人をとやかく 言えないな 自分も相当 人から見れば」