〇田舎に住む人たちの日々
田舎に住んでいると当たり前のようですが、たまに都会へ行き帰郷して感じるのは人の少なさとお年寄りの多さです。いわゆる過疎化と高齢化、それに少子化が同時に進行していて、「このままだと将来はどうなるのだろう」と、心の中に暗雲が漂います。遅きに失した感じは拭えませんが、政府もこのことに重い腰を上げ、地方の再生を国の重要課題に取り上げたようですが、地方公共団体にその重要性はまだまだ認識が乏しく、国からの助成や補助金を待ってるような有様です。田舎に住む私たち市民も相変わらずの手合いで、役所への不満を言いつつ自らが何かを始めようとはせず、してもらうことへの期待感ばかりで、これでは地域はよくならないと自らの非力も含めて嘆いているところです。
昨日人間牧場へ出かけた帰り、顔見知りの女性のお年寄りに出会いました。この人の年齢は多分75才前後だと思うのですが、かく言う私も70歳の高齢者なので、ついつい自分と同年齢の人の所作や暮らしぶりが気になるのです。この女性は60代半ばから急に腰が曲がり始め、医者に相談しても歳のせい程度の対応しかしてもらえず、今では「上を向いて歩こう」ならぬ「下を向いて歩こう」だと、寂しく話ていました。女性にとって美しくありたいという願望は誰もが持っている憧れです。腰が曲がると人の目が気になり、それまで生活改善グループや婦人会等の活動に積極的に参加していた外出も次第に億劫になり、今は野良仕事に行くのにもマイピアしか乗れない有様です。ご主人も病気がちだし、山村の農家に嫁いでからこれまで、苦労をして生きて来た結果がこうでは報われないと、淋しく涙ながらに語っていました。
帰り道、杖をついた、これまた顔見知りの女性に出会いました。この方は私より一つ歳上ですが、転げて膝を怪我し手術してから、膝の具合が思わしくなく、杖がないと歩けないようでした。幸い車の運転が出来るので、今のところ暮らしに支障はないようですが、モンペ姿で町内対抗バレー大会で活躍したかつての勇姿を知っているだけに、変貌ぶりに驚いてしまいました。同級生だというのに若年性痴呆症にかかり、デイサービスに杖をついて通っている友人が奥さんの付き添いで散歩をしている場面にも出くわしましたが、その同級生のことも気がかりです。田舎ではこのように忍び寄る高齢と病魔、それに将来への不安を感じながら生きている、杖をついて歩く人の姿をよく見かけますが、明日はわが身と感じることが多くなりました。
さりとて不安ばかりを気にしていては生きて行けません。田舎でも見方ややり方を変えれば楽しいことはいっぱいあります。これから25年間、私は思い切って楽しい人生を過ごしたいと思っています。今日一日を楽しく、これがいい人生の基本です。3人とも別れ際、「今も活き活きと輝いて生きているあんたが羨ましい」と言われました。
「出会う人 体の不調 訴える 田舎危ない 危機感持ちつ」
「この歳に なっても輝き 生きている あんたの姿 羨ましいと」
「前かがみ 下向き暮らす 人の背に わが身重ねて 明日はわが身か」
「人生は 今日の連続 だからこそ 1日1日 大切生きる」