〇貯金箱のご開帳
地元新聞の文芸欄には、正岡子規や高浜虚子などを輩出した影響でしょうか、他県の人が驚くほど沢山の俳句や短歌、川柳が載っています。私も嫌いな方ではないので、毎日朝食を取りながらそれらに目を通し、時々は横に座って一緒に食事をしている妻に読み聞かせながら、会話をつないでいますが、特に妻の笑いを誘うのは川柳で、今朝も愛南町の前田重信さんの「家が建つほど呑んだという酒豪」という一句が目に留まり、自分もそのとおりだと納得しながら笑いました。
私は元々酒が余り好きなタイプではありませんでしたが、青年団活動で酒を呑む修行をしたお陰で随分酒が強くなり、若くて元気な頃は年末ともなると連日忘年会のはしご酒をやっていました。酒を呑む場所は殆どが松山だったため、酒を呑むと「10円タクシー」と命名していた妻に迎えに来てもらっていましたが、時には代行運転の車での帰還もあり、酒代やそれらにつぎ込んだ費用は、前田さんの句の中に出てくる酒豪ほどではありませんが、かなりの金額でした。
今思えばあのお金はどこから工面してたのでしょうか?、今でも私の七不思議のひとつなのです。その不思議は今も続いていて、酒を呑まなくなったのに酒につぎ込んでいたお金は手元に残らず、一向に貯まらないのです。体の不調を訴えてから、あれほど好きだった酒を14年前、断腸の思いできっぱり止めました。コーヒも煙草も飲まないことから、喫茶店に入ることも殆どなく、小銭を使うことさえ少ない私のやっていることといえば、机の横に置いている貯金箱に、残金の小銭を小まめに入れることくらいですが、これが結構貯まるのです。
昨日若嫁とお茶を飲みながら新聞広告に出ていた、一眼レフデジカメの話になり、私の郵便局でもらった赤いポスト型の貯金箱を開けることになりました。底ぶたを開け中の小銭を取り出して数えてみると、何と何と2万7千円もありビックリしてしまいました。カメラの値段が2万7千円というのも偶然でした。早速息子に相談したところ、「これは安過ぎる」と反対されましたが、どうせ妻に内緒の酒を飲んだつもりの貯金箱貯金なので、あまりこだわるつもりはないのですが、息子の言い分も一利あると思った次第でした。
「消費税 値上げきっかけ 始めたが 貯金箱には 二万七千円も」
「酒呑んだ ころが懐かし 酒代は 要らなくなったが どこへ消えるか?」
「酒代で 家まで建つとは 思えぬが かなりの出費 妻を騙して」
「貯金箱 貯めたお金で デジカメを 買いたいけれど 息子反対」