〇「泊めてください」と言われても・・・・
「若松さん、連休期間中に一度日本一とあなたが自慢する夕日を見に行きたいのですが、ご案内いただきますか」と、数日前知人からメールが入りました。「どうぞお越し下さい」と言いたいのですが、「いつ行くか足の向くまま気の向くままに」とか、「夕日を見た後、あなたの家へ泊めて下さい」「一緒に私設公民館煙会所か人間牧場でいっぱいやりましょう」とか書かれていたので、早速返信のメールを送り返しました。
実はこの人は東京の人で、知人といっても東京の研修会で一度名刺交換をしただけの人なので、さてどうしたものかと迷いに迷いました。私は人を向かえるスタンスとして「来る人拒まず、去る人追わず」を貫き、人の良し悪しなど余り気にせず対応してきましたが、「どうしようか」と迷いました。
迷った理由は3つです。その一つはリタイアしているので、相手は私が毎日暇を持て余していると思っているようなのです。ゴールデンウィークといえど私にも都合があり、予定もあるので、期日や時間を指定してもらわないと、いつ来るか分からない人を待ち続ける訳には行かないのです。
二つ目はわが家に泊まりたいということですが、残念ながらわが家は今息子家族が同居するため家のリフォーム真っ最中で、連休中に引越しをする予定なので、泊める訳には行かないのです。加えて三つ目は私が酒を飲まなくなったこともさることながら、酒を飲むとなると妻の手料理も用意しなければならないので、せめて大型連休ぐらいは妻を休ませてやりたいという思いもあったのです。
私のメールの返信にはその辺を詳しく書いて、「夕日を見るだけなら、煙会所や人間牧場を案内するだけならいいのですが、今回は泊めることもお酒を飲むことも叶わない」と断わったのです。
ところが相手は既に長いゴールデンウィーク前に休暇を取って出発していて、私の送ったメールを見ていなかったのです。3日前の夕方何の予告もなしにその知人はわが家にやって来ました。丁度来客中で一緒に夕日を見たいと言われましたが、シーサイド公園へ行くこともできず、結局沈み行く夕日を家から見学してもらいました。メールを送ったこと、家の都合で泊めれないこと、酒を飲むことができないことなどを説明しましたが納得せず、ついには夜を迎えた人間牧場へ連れて行き、泊めることにしたのです。
いちいち身勝手なのですが、明くる日の朝早く妻が作ってくれた朝御飯を持って人間牧場へ行き、その日は旧広田村へ講演に行く予定だったので駅まで送り、草々に引き上げてもらいました。金をかけない旅も結構ですが、相手を思いやる心は欲しかったと思いつつ、それでも何か悪いことをしたような気分でお別れをしました。
いやあ参った参ったでした。それでも偶然にわが家からいい夕日が見えたのはラッキーだったと思っていますが、私の知人や友人には色々なタイプの人がいるものです。昨日その人から携帯電話が入りました。旅先の宮崎県からでしたが、無事に旅を続けているようで安心しました。
「身勝手な 東京知人 予告なく いきなりわが家 泊めていわれる」
「とりあえず 夕日見てから 牧場へ 一夜の宿と 一汁一菜」
「もしこれが 空海だったら 十夜ヶ橋 苦笑しながら 対応苦汁」
「田舎住む 人は誰もが 暇思う 東京人の 発想甘い」