shin-1さんの日記

○夕日が見えた束の間の幸せ

 「このまま車で走ると夕日を拝むことはできない」と思い、直感的に松前町北黒田の信号を右に曲がりました。一直線の道を進むと見慣れた元気人村という温浴施設の前に出ました。車を道端に止め偶然持っていたデジタルカメラを車内から取り出して、とりあえずまず防波堤から一枚シャッターを押しました。昨日の夕暮れはこれまでの荒れた冬の天気がまるで嘘のように、晴れ渡った空を真っ赤に染めて沈もうとしているのです。どう表現すればいいのか、私はこれまでの夕日のデーターを頭の中に蘇らせながら探しました。「そうだ、サーモンピンクがいい」と直感的に思いました。防波堤の上に一人腰をかけて座り沈みゆく夕日の天体ショーを一人楽しみました。双海町の夕日であれば、場所やアングルを変えて忙しく動き回るのですが、他所の町の夕日はさすがにそんな気にもなれず、夕日が沈むまでのひと時を大事にするべく眺めたのです。時折通る自転車やジョギングする人たちは、この素晴らしい天体ショーを見ることもなく、無反応な顔をして去って行きました。

若松進一ブログ

 これが平成21年、2月2日の瀬戸内に沈む美しい夕日です。私の心とデジカメにしっかりと記憶させました。この日もあいにく水平線近くに雲があって少し早目に雲の彼方へ没してしまいました。ふと気がつくと足元から冬の寒さが体中に伝わってきました。「そうだ、せっかくだから冷え切った体を元気人村の風呂で温めて帰ろう」と思いつき、温浴施設の暖簾をくぐりました。室内は外の寒さとはまるで別世界のような温かさです。お風呂の好きな私は時々ここを利用するため、受付のお嬢さんともすっかり顔なじみで、「まあ若松さんお珍しい、今日は大学の帰りですか」と、突っ込んだ質問です。「はいその通り大学の帰りです。今日は海岸で夕日を見ていたら体が冷えまして、温泉に浸かろうと思いまして」「それはありがとうございます。ごゆっくり」と、まあこんな他愛のない会話を交して浴場へ入りました。

 すっかり陽の落ちた海や空を窓越しに眺めながら冷え切った体を湯船に沈めていると、隣には顔見知りの人が何人もいて、会話が弾みました。中に水産高校の同級生もいて驚きの会話を交わしたり、サウナ、水風呂、薬草湯などを巡りながらすっかりリフレッシュしてポカポカです。「ああこれも夕日の導きか」と思いつつ、時を過ごしました。火照った体を冷ますべく休憩室の背もたれ椅子に横たわってテレビを見ました。浅間山、桜島の火山小規模噴火のニュースが流れていました。不況を反映した国会の論戦や、国務長官に就任したヒラリー長官が最初の訪問国に日本を選びそうだとのニュースも、大きな話題なのにどこか白けた話題になって、記憶のかなたに消えそうな感じがしました。

 外に出ると冬の夕暮れは早くもう真っ暗でした。急いで車を走らせ家路を急ぎました。夕日の高入りは雨の証拠だと直感していましたが、カーラジオの天気予報だと明日は西から天気が崩れて雨のようです。私にとって夕日は何よりの薬です。束の間の夕陽を見れた幸せを感じました。


  「よその町 だけど夕日が 見れました 束の間だけど 幸せでした」

  「高入りの 夕日に雨の 予感あり 明日は雨かと 心曇りて」

  「夕日見て 冷えた体を 温める 温浴湯船 見慣れた顔が」

  「番台の 娘優しく 声かけて 益々心 ポカポカなりぬ」

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