○言うは易し行うは難し
口から出まかせで、できもしないことをベラベラ喋ることは意外と簡単です。また人のやったことを批判することも人の半分の能力があれば簡単にできるのです。しかしそれでは「あいつは言うだけ、うどん屋の釜、言うぎり丸の船長、大鉄砲、大風呂敷」といわれ、人を納得させたり信用を得ることはできないのです。昔は「言うことは易しされど行うは難し」という人間の生き方の難しさから、「不言実行」が美徳とされていました。口数少なく黙々と実践する姿は、いつしか人の信用を勝ち得たものです。しかし情報があふれるような社会に生きる現代人を相手にこれからの時代を生き抜くためには、それでは通用しなくなっています。自分の思っていることをはっきり言ってそれを実践する「有言実行」こそが最も理想の生き方だと思うのでます。
私はその理想を求めて「結果こうなるだろう」ではなく「結果こうする」を周りの人に公言し、その成果を勝ち得るために実践してきました。現代風にいえばマニフェストのようなものです。今では日本全国珍しくもなくなった道の駅ですが、私が担当して双海町に造った頃はまだ県下でも珍しい時代でした。ましてや第三センターを設立してその運営を任せるというアイディアは不安いっぱいでした。「赤字になったらどうするのか」「人が来なかったらどうするのか」と、議会では非難や反対意見が相次ぎました。「赤字になったら黒いボールペンで書きます」と書いてある議員を激怒させた武勇伝は余りにも有名な話ですが、「人を来させる」「黒字にする」という公約を掲げて孤軍奮闘しました。特に12年間にわたってシーサイド公園の海岸清掃を朝5時から毎朝3時間、12年間続けたことは「言うは易し行うは難し」でした。その結果今ではシーサイド公園には年間五五万人もの人が訪れ、第三セクター「シーサイドふたみ」は開業以来一度も赤字になったことがなく、出資をしている団体に年間5パーセントの配当を続けているのです。
掃除と来客数や営業成績は一見何の関係もないように見えますが、これこそお客様を迎える感謝の心であり、リピーターを増やす大きな力となっているのです。
私たちはいつも理想を掲げその理想の実現に向かって努力しますが、目標も大事に違いはありません。でも日々の行動という積み重ねのプロセスが結果的には目標を勝ち得るのです。
私は皆さんに色々な話をします。「毎日2本ブログを書いています」「毎日三枚のハガキを書いています」などなどですが、これはやろうと思えば誰にでもできることなのですが、日記や家計簿が三日坊主に終わったり、禁煙や禁酒などもなかなか辞めづらいのです。私の友人が昨年亡くなりました。大の愛煙家で私はその人のことを陸蒸気と呼んでいました。「たばこは百害あって一利なしといわれるから辞めた方がいい」と勧めました。彼曰く「たばこを辞めるくらいだったら死んだ方がましだ」と豪語していました。結果的には肺ガンになり短い生涯を終えました。病院に見舞ったとき私に「肺ガンになったのでタバコを辞めた」と吐露しました。時既に遅しでした。
私は今「言うは易し行うは難し」という言葉より、「言うは難し行うはさらに難し」という言葉を編み出しました。「五年で五冊の本を出したい」ではなく「五年で五冊の本を出す」というとんでもない有言実行の言葉を発したばっかりに、私の苦行は今後三年間は続くのです。でもそれが人間の進化というものなのです。
「言うことも やる事さえも 難しい 努力なしでは 信用できず」
「言ってやる だから周りが 納得す 積み重ねたり 信用の山」
「簡単に 口では言うが さてあんた できるのですか それは・・・・・・?」
「さて次は どんな公約 股に張る いえいえアンマ 膏薬じゃない」