○受け取り手のいない荷物
昨日外出先から帰って着替えをしていると、玄関のチャイムが鳴りました。「ちょっと待って下さい」と大きな声を出して急いで着替えました。玄関先に出てみると郵便局の職員さんでした。最近は郵便局も民営化したためか、見慣れない顔の人が多くて、その人もこれまで一度もあったことのない顔でした。その職員さんは玄関を開けるなり、「荷物が帰ってきていますので受け取ってください」というのです。「えっ」と思いつつその荷物を見ると確かに妻の字で書かれたわが家発送の荷物なのです。今治に住む息子へみかんを送ったことは妻から聞いていたし、その荷物が届いても息子から連絡がないとこぼしていたのを知っていたのですが、まさかその荷物が相手である息子の元へ届かずに迷走し、わが家へ帰ってくるとは何ともはや奇妙な話です。
私は納得いかないので、郵便局の職員さんに文句を言いました。するとその人は「何度か届けに行ったようでしたがお留守のようで、受け取られませんでした。お家の方にも連絡して欲しいとメモを入れたのですが連絡も取れなくて」と弁解されました。「それだったら送り主の住所を書いているのですから私の家へでも連絡をくれたらよかったのに」と反論しましたが、堂々めぐりになるし、この人には責任もないだろうと思いあきらめました。
一週間迷走した荷物は中身の腐敗が進んでいるのでしょう、箱の下から汁が出ていました。私は早速息子の所へ電話を入れましたが、仕事中でつながらず、夜になって息子から電話が入りました。私は「折角みかんを送ってやったのになぜ受け取らぬ」と叱りました。息子の言うのには「このところ仕事が遅くなり、家に帰ってから郵便局へも何度か電話をかけたものの、本日の営業は終わりましたので明日にしてください」との回答ばかりで、結局受け取りタイミングを失ってしまった」とのことでした。荷物の迷走は荷主、荷受人、宅配人、それぞれが努力したのでしょうが、受け取らなかった原因もそれぞれにあるようで、一階に責める訳にもいきません。しかし私も息子も気をつけなければならないことは重々分かりますが、生モノと分かっている郵便局の対応も考えてもらわなければなりません。
私はクレーマーではありませんが、早速顔見知りの郵便局長に電話を入れました。残念ながら局長は留守で協調代理が出ましたが、平謝りされる電話の向こうに対して少し冷静になってお話をしたのです。私は毎年100個に近い荷物を主に郵便局の窓口から送っています。それは郵便局長との長い付き合いや、郵政懇話会などに招かれたり、郵政研修所で講義をしたりして深いご縁をいただいていることへの感謝の意味を込めてのご愛顧なのです。郵政が民営化され間もないのですが、これが民間の宅配業者だったらどうなっていただろうと、まだまだ甘い郵政の対応に少し眉をひそめました。
かくして迷走した荷物は私の手によって開けられ、腐敗の進んだみかんとまだ食べられるみかんとに仕分けし処分しました。この荷物が息子に届いていたと仮定すると今頃は、息子の胃袋に納まっていただろうにと思うと、やるせない気持ちになりました。年末年始で忙しくなるこれから、私も息子も、郵便局もみんなでトラブルのない明るい正月を迎えたいものです。後二日で師走ですから・・・・。
「一週間 迷走続けた 荷が帰る 箱の底から 涙こぼして」
「信用を していたはずの 郵便が こんな姿で 帰る寂しさ」
「文句言う 私はやはり クレーマー? 煙たがられて それで終わりか」
「受け取らぬ 息子も悪い お叱りの 電話しつつも どこか心に」