○デジタル情報の整理
最初にデジタル情報を意識したのはワープロでした。勤めていた役場の職員が当時珍しかったワープロを購入し様々な資料を作成しているのを見て私も欲しいと思い、当時のお金で15万円の大金を工面して手に入れました。先に買った仲間の手ほどきを受けながらこれほど便利なものはないと、フロッピーに入力して保存できる記憶装置に感心したものです。そのうちパソコンが出回るようになってワープロが時代遅れになりましたが、パソコンを買う大金の工面ができずしばらくの間ワープロに甘んじていたものの、役場の机に一人一台のパソコンが用意され、否応なしにパソコンの世界に引き込まれていったのです。デスクに置かれたパソコンは持ち運ぶことができないため、仕方なく自宅用のパソコンを購入しましたが、その互換性も分からぬまましばらく使ってそれぞれの資料を作り。それぞれのフロッピーやCDに保存して書斎の引き出し収納して今日を迎えているのです。
ワープロ時代の使わない情報を入力したフロッピーとパソコンのDVDが混在する中から、時々必要に駆られて情報を取り出すのですが、それらの整理がうまくできていないので、これまた探すのに一苦労しつつ一人悩んでいるのです。パソコンの記憶を検索するには、もう私の記憶がパソコンの記憶について行けないことに気づいているものの、何とかしなければと思う心の焦りが余計退化ししつつある頭をぐじゃぐじゃにしてしまうのです。
役所を退職して3年半が過ぎました。多分それ以前の資料は処分しているので、3年半分しかないのに収めたDVDの数は50枚を超えていて、先日息子がくれた真新しいものも20枚あるのでこれからもどんどん増えそうな勢いだし、故障しかかった以前のパソコンに内蔵された情報もまだそのままの状態で残っているのです。
パソコンを使うようになって私の暮らしは一変しました。毎日の暮らしの中でパソコンの前に座って向き合う時間がだんだん増えてきていることに気づくのです。かつてのようにペンと紙を相手にものを書く時間が極端に減り、昨日送った原稿などはパソコンで書き、デジタル化されたバーチャルな原稿をペーパー化することもなく画面で校正しデジタル写真とともに指定されたメールアドレスに送付して一件落着です。早速届いた返信にも同じような作業を繰り返しましたが、結局は相手の顔の見えないままでこの仕事は終わってしまいました。
最近近所の野菜畑にパソコン用のDVDが何枚も吊り下げられているのに気がつきました。最初は何だろうと?と不思議に思いましたが、近づいてみると七色に輝くDVDなのです。野鳥や害虫などを追い払う脅し用だと分かりました。とっさに最近の野鳥や害虫もいよいよデジタル化されたのかと一人苦笑しましたが、畑もアナログな案山子からデジタルなDVDへと変化しているようです。
便利なデジタル情報も整理ができない私には不便な情報になりつつあります。それでも写真がセピア色に変色化するのに比べデジタルで保存した写真は変色もしませんし、データーの所在さえしっかりしていれば、いつだって鮮明な写真が取り出せるのです。またこれらの情報を送ったり受けたりすることも自由自在で便利です。
先日パソコンに堪能な人から面白い写真が送られてきて驚きました。私の写真を行ったことも見たこともないない外国の美しい夕日の風景の前で、何と私が記念写真に納まっているのです。いわゆる合成写真でしょうが、これだとアリバイ工作に使えるのではと、人気番組「相棒」みたいなことを考えました。世の中は私の知らない、私のできないことが多いようです。
「情報を 保存し過ぎて 何処へやら これでは便利 かえって不便」
「行ったこと ないのに私 写ってる 合成写真 ここまで進歩」
「キラキラと 七色光る 野菜畑 野鳥害虫 デジタル時代」
「顔見えぬ 人に原稿 パソコンで 送って返事 何処か不安に」