〇春の一日
ゴールデンウィークに入り、私の住む田舎町双海町でさえ人の動きが活発になってきました。平成7年にオープンして以来15年目を迎えた道の駅ふたみシーサイド公園も、並行して走る高速道路無料化実験ルートの影響をもろに受け、客足が減少したといいながら、昨日はゴールデンウィークの中日で平日とはいえ、終日客足が途絶えなかったようです。オープンして数年はゴールデンウィークの人出予想や結果発表に常連として名前を連ねていましたが、その後あちらこちらに話題の施設ができて、日常施設として話題にもならなくなりました。
昨日は読み終わって書斎にうず高く積まれていた本の移動と、牧場の隅に伸びたまま枯れているススキの一株を刈り取るため、昼食を終えてから人間牧場へ行きました。本当は昨日ミツバチの師匠井上登さんと年輪塾の浜田久男さんが見える予定でしたが、井上さんがミツバチの巣箱設置を二日前に終えたので、浜田さんに延期の電話を入れ、私一人での作業となりました。持参した本類を書棚に片付けて並べ、目ぼしい本を再読のため2~3冊降ろし、背もたれ椅子に体を沈めて乱読しました。
私が人間牧場を作った目的は色々ありますが、背もたれ椅子に横たわって好みの本を読みながら居眠りをすることもその一つです。思いつくままに選んだ本を読みながら疲れていたのか、つい1時間ばかりウトウトとしてしまいました。本を読むことや何もしないでぼんやりと、広がる海や空を見ながら冥想にふけることは、私にとって心の充電であり至福の時なのです。無を感じたり無から有を産み出すにはこんなのんびりも必要だとしみじみ思いました。吹き渡る風のかすかな音、流れる雲、表情を変える海や空の色、小鳥の鳴き声、全てが日常の暮らしでは聞こえなかったり見えない小さな世界なのです。
(早くも分蜂入居が確認された擁壁上の二つ巣箱)
私が留守中に井上登さんが人間牧場のあちこち7ヶ所に設置したと、連絡があった巣箱を見て回りました。さすがミツバチの師匠です。お墓の擁壁の上辺りのブルーベリー園に置いた二つの巣箱には、早くもミツバチの入居が確認され、沢山のミツバチが出入りしていました。これらの巣箱は種蜂を取るのが目的で、いずれ種蜂がしっかりと住み着いたら西予市野村町の山奥へ、移動させる計画のようです。3年前に山奥から種蜂を貰った恩返しですから、何とか種蜂を確保して欲しいと願っています。私の巣箱といいながら井上さんが設置してくれている観察用の巣箱は、キンリョウヘンを置いてもらっているけれどまだ入居は確認できませんでした。
古い草刈機を取り出してエンジンをかけ、ススキの古葉を刈り取りました。こうすることによって今年も夏の涼しげなススキの揺れや、秋のころにはススキの穂が出て風情を楽しむことができるのです。刈り取った古葉はいつものようにブルーベリーの敷き草として活用しました。
昨日は春特有の黄砂が降って視界がかなり悪くなっていたようです。東アジアの内陸部で巻き上げられた黄砂がジェット気流に乗ってはるか遠くの日本に届くのですから驚きです。黄砂もまた見方によっては日本の春景色といったところでしょうか。帰り際唐崎の国道辺りから本尊山を一枚写真に収めました。
「背もたれの 椅子に座って 本を読む ついウトウトと 至福楽しむ」
「一株の ススキでさえも 夏秋に 季節演出 なくてはならぬ」
「黄砂降る 日本の春も 趣きが 一句浮かんで メモにしたため」
「種蜂を 採取目的 巣箱置く 早くも分蜂 蜂が飛び交う」