○口当たりのよい食べ物と人当たりのよい人にご用心
「若松さん、朝フルしませんか」と、えひめ地域政策研究センターの清水研究員から数日前電話がかかってきました。「午後は所用が入っているので休日である29日の朝はどうですか」と相談がまとまり、29日午前9時という時間が私のWriting Calendarに書き込まれました。しかしこのところの叔父の葬式や各種の会議でそのことをすっかり忘れていたのです。妻が「29日は昭和の日で祭日だから、前日の夜孫朋樹が泊まりに来たいと言っているから、大学の講義が終わったら迎えに行って欲しい」と頼まれました。「ああいいよ」と安請け合いして朋樹を連れて帰ったのです。孫のお目当ては、私が電話で「朋樹君、人間牧場の養殖カブトムシの幼虫が這い出したから見に来ない」と誘っていたものですから、その言葉につられていたのです。
かくして孫朋樹はわが家へ一人で泊まりにやって来ましたが、その夜は妻の仕事が夜遅くまで続いて、帰宅が午後8時半を回っていたため、妻が手間暇掛けて作ったハンバーグも、半分しか食べることが出来ず、疲れて風呂にも入らず眠ってしまったのです。それでもカブトムシの幼虫の事は気になるらしく昨日の朝はさすがに早く起きて、「おじいいちゃん、人間牧場へ早く行こう」と誘うのです。妻を起こしサンドウィッチを作らせました。実は前日孫と一緒に帰宅途中に松前町のエミフルという商業施設にパンを買うため立ち寄りました。夕方なので空いているかも知れないと思ったからです。初めて訪れた施設は四国最大級というふれ込みだけあって広大で、夕方だというのにひっきりなしに車が出入りして、店内もかなり混んでいました。パン屋さんで食パンをサンドウィッチ用に薄くスライスしてもらっていたのです。
さあいざ出発という時間に、清水さんから携帯電話のメールが入りました。「しまった」ととっさに思い出しWriting Calendarを開けて清水さんとの約束が午前9時であることに驚きました。偶然の一致か幸運の一致か、清水さんの約束と朋樹との行動が見事に一致していたのです。
午前9時に5分前、私と朋樹は人間牧場へ到着です。まるで待ち合わせたように清水さんの車も一緒に到着しました。清水さんは朝フルの会員である谷晴美さんを伴っていました。「早速準備をします」と清水さんは持参した果物を包丁で切り分け朝フルの準備です。コーヒーもマイカップ持参で用意周到です。晴美さんは陶芸やお菓子作りが趣味のようで、それは見事な自作のお皿に自作のチョコレートケーキを盛り付けての持参です。さあ朝フルです。自慢のスライド窓をいっぱい広げ朝の清々しい空気を吸いながら楽しいお喋りを孫を含めた4人で楽しみました。
晴美さんが加わっただけで、話が楽しくなりました。清水さんと私のこの日の話は、タイトルのような「口当たりのよい食べ物と人当たりの良い人にはご用心」という話でした。確かに最近は口当たりの良い食べ物が目立ちます。しかし口当たりが良い食べ物を食べ過ぎると健康を害することが多いのです。事実日本ではその弊害が現れ肥満や成人病がやたらと多いのです。そこへゆくと朝フルはまさに口当たりより健康重視です。心の戒律をきっちり守り、食事に細心の注意をして体の健康にいいものを食べているのですから、これに越したことはないのです。
さて「人当たりのいい人」も要注意です。そんな視点で身の回りにいる人を頭に思い出してみましたが、私の身の回りには嬉しいい事に気心の知れた人当りのいい人は沢山いますが、初対面で騙された人は過去に何人もいるのです。信用が商売のような地域づくりの世界でも、いきなり最初から信用してかかることは禁物だと、よく妻からも注意を受けましたが、なるほどと話が弾みました。
朝フルは楽しいものです。束の間の時間を過ごした後、農業の専門家である清水さんの指導を受けて始めている、サツマイモ命のリレープロジェクトのミニハウスのビニールを一緒になって剥がし、草取りまで手伝ってもらいました。
「口当たり いい食べ物は ご用心 体にいいもの たくさん食べる」
「人当たり いい人に見え ご用心 どこか怪しい 下心かも」
「束の間の 朝の時間を 楽しんで どこか元気に なったようです」
「爽やかな 時の流れに 身を任せ 自然感じつ 話に花を」
孫朋樹は谷晴美さんの事を晴美さん、晴美さんのまるで恋人のように呼んでいて、家へ帰ってケーキの事を母親に話しました。「晴美さんにもらったケーキ」と説明して、母親から「晴美さんって誰?」でした。孫と私の秘密です。