shin-1さんの日記

○朝掘り筍と朝がかりの鰆

 「竹かんむり」に「旬」という字を加えると漢字の「筍」となります。それと同じく「魚偏」に「春」という字を加えると「鰆」となるように、筍も鰆も私が住んでいる双海町では今が旬とばかりに出回って、美味しい味を堪能させてくれています。

 昨日の朝、近所を散歩していると顔見知りの人に会いました。久しぶりに出会ったため「お早うございます」「お元気ですか」「お体の具合は如何ですか」などと月並みなあいさつを交わし、田んぼの話しなどをしていると、「筍要らんかな」というのです。見ると軽四トラックの荷台には今掘ったばかりの沢山の筍が乱雑に積まれていました。「この筍は今朝掘ったが、雨後の筍といわれるように、この時期は毎日竹林に行かないと直ぐに伸びてしまって困る」「掘る時は面白いが、今時はどの家も筍だらけで、掘っても金にならんし、毎日筍も飽きてしまって」と肩を落とし、「処分に困るからあげる」というのです。それではとお言葉に甘えて小さめの筍を2本いただいて両手に持って帰りました。多分同じような言葉が飛び交い、同じようなおすそ分けでいただくのでしょうが、このところ毎日筍の料理が食卓を賑わせています。筍の煮付け、天ぷら、八宝菜や酢豚、筍ご飯などなど、私も大好きですから美味しくいただいているのです。しかし筍をもらったお百姓さんがいうように、いくら好きでもこう毎日続くと少しうんざりもするのです。

 忙しく振舞う妻の少しでも役に立とうと、筍を包丁で縦割り半分に切り、皮を剥きました。すると何ともいえない筍の香りが漂ってきました。半分に割ると皮は意外と簡単に剥げてしまいます。一番下の筍の根の部分そぎ落とし、お湯を沸かした少し大きめの鍋の中に入れ茹でました。普通は米糠を入れるのですが、持ち合わせがないため、米の研ぎ汁を入れました。やがて煮立ってきましたが、かなり長時間、竹の菜箸を差し込むと自然に差し込めるほどに茹でました。そして火を止め冷めるまで蒸すのです。そうすると柔らかい筍が出来上がり、それを冷水で晒すと下ごしらえの完了です。わが家は親父を含めて3人の家族ですから、冷蔵庫にしまっておけば1週間分の料理の材料になるようです。

 今朝、少し大きめの鰆が一本届きました。馴染みの漁師さんが朝がかり鰆と自慢げに届けてくれたのです。漁師さんの話によると、この鰆は朝がかり、つまり夕方張った鰆流し網に夜早い時間にかかる鰆と、早朝網を引き上げる直前にかかった鰆では味が全然違うというのです。これは直ぐに妻が下ごしらえの処理をしたため、残念ながら写真に収めることは出来ませんでしたが、旬の鰆だけに丸々と太って脂の乗りも最高のようです。鰆は何といっても刺身が一番ですが鰆の味噌漬け焼きや、煮付け、それに鰆ご飯も捨て難く、昨晩の夕食は色々な料理が並んで、食べ過ぎるほどに食べました。

 筍にしろ、鰆にしろ、こうして地元で取れた旬のものをタダでいただいて食べれる事は田舎ならではの幸せです。田舎の暮しはある部分煩わしいい事もありますが、それを差し引いても都会の暮しでは考えられない幸福な暮しなのです。

 鰆をもらったので人間牧場で取ってきたばかりの蕗を一束差し上げました。早速奥さんから電話が入り「まあまあ立派な蕗を有難うございます」と鰆をいただいたのに反対に蕗のお礼を言われてしまいました。田舎では家にないものが値打ちなのです。

 春から初夏へ、季節は確実に動いています。筍も鰆も私たち家族の胃袋に納まり、日々の活力の源となっているようです。

  「今が旬 筍鰆 届く朝 田舎の暮らし 存分満喫」

  「今晩は 筍鰆 食卓に 思うだけでも 喉がなります」

  「お礼にと 差し上げ蕗の 礼言われ 鰆の礼を 失してしまい」

  「ああ美味い 連発しつつ 夕餉膳 囲みて夫婦 至福の時を」

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