shin-1さんの日記

○膝・腰・肩

 90歳になる親父の大好きなテレビ番組は、いわゆる時代劇といわれる水戸黄門です。親父は最近耳が遠くなり、テレビの前に陣取ってボリュームをかなり大きくしてかぶりつくようにして見ているのです。一方62歳になる妻はサスペンスや旅番組が大好きで、こ難しい操作をしなければ見れないビデオを使ってお気に入りの番組を録画し、「よく飽きないなあ」と思うほど、同じような番組を何度でも再生して見ているのです。親父も妻も生まれた頃にテレビはありませんでしたが、私がパソコンなしで日々の暮しが考えられないように、今ではテレビなしでは生きてゆけないような雰囲気なのです。

 私にとってテレビとパソコンとどちらを取るかといわれたら、多分パソコンを取るでしょうが、親父も妻もテレビの方を選ぶに違いないのです。「双方向性」を謳い文句に地上デジタル放送が開始されています。私たちの地域でもその電波は来ているのですが、わが家ではまだアナログテレビが健在で、多分期限切れまで使うものと思われます。既にそのテレビを見ている娘夫婦や息子夫婦の家に行くと、別の国に行っているような錯覚さえ覚えるまるで違う画面を、いとも簡単に使ってテレビ番組を楽しんでいるようです。パソコンを使ってテレビを見れば、好きなだけ時代劇もサスペンスも見れるのだそうですが、そんなことをしたら親父も妻もテレビの前に座り続けそうな雲行きなので、一方通行だけの今のままの不自由さがいいのかもしれないのです。しかしそういいながらも一方通行だけの情報を受けている親父や妻と、双方向性の情報を発受信している私とでは、これまた随分違う世界にいるのだとしみじみ思い知らされているのです

 昨日叔父の葬式に行きました。親父の兄弟姉妹たちもみんな高齢化して、膝・腰・肩が痛いと訴える人が殆どになりました。肩は別として膝・腰の不調は深刻で、日本の伝統的な暮らし方である畳での生活はかなりしんどいらしく、そんな高齢化を反映して式場や控え室などには高齢者用の座椅子が沢山用意されていました。叔父や叔母たちはその椅子に座って長時間の待ち合わせに耐えていましたが、老いの身にはとても辛いと漏らしていました。集まった中ではまだ若い方だと思っていた私さえもここ4、5日のぎっくり腰に悩まされて続けているのです。

 親父と妻のテレビ番組を見て気がついたのですが、これらの番組を作る送り手の意図は、視聴者の年齢層を意識しているということです。内容も人情ものの時代劇、トリックの多いサスペンスと目的は違うものの、興味をそそるように出来ているのです。そしてあい中に挟むコマーシャルがどこか共通していて、「ヒアルロンサン、コラーゲン」などといった膝・腰・肩に良いようなもの、「サプリメント」といった「痩せたい」という願望をそそるようなものなどが、これでもかとばかりに留めもなく流されているのです。

 膝・腰・肩の不調を訴える高齢者にとってその悩みは深刻で、夜も寝れない辛さから開放されて、若い頃のように元気で動けるようになりたいというのは当然のことかも知れないのです。そんな人が薬やサプリメントを買い求める気持ちも分るし、番組に高いお金を使ってコマーシャルを流すのも道理といえば道理なのです。

 しかし、わが妻のようにビデオで見る時はコマーシャルを早送りして見る事を、テレビ局は承知しなければならないのです。

  「CMを 早送りして 見るビデオ 妻にとっては 影響もなし」

  「これでもか 膝腰肩に 効く薬 ホントに効くと 信じる愚人」

  「身の回り 膝腰肩の 悪い人 どんどん増えて 座椅子満席」

  「黄門と セットで売れる コラーゲン 意味も分らず 年金使い」

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