○クロマグロの完全養殖
宇和島水産高校の先輩である玉井さんから昨日電話があり、「スケジュールが空いていれば近畿大学の公開講座が松山であるので聞きに来ないか」と誘いを受けました。この日はあいにく午前と午後と夜、ちょっとした集会や出会いがあるのでと?マークでお茶を濁していましたが、何となく気になるテーマなので思いきって他の用件を削って参加する事にしました。
全日空ホテルの4階で開かれた講座は100人の定員でしたが満席で、講師である近畿大学水産研究所所長熊井さんの知名度か、あるいは近畿大学の関係者か、はたまた主催者の動員か分りませんが、満員御礼とは嬉しいことと自分自身もこの講座に参加してよかったと思いました。
私はこの番組を見ていませんが、今日の講師の熊井さんはかつてNHKの人気番組であったプロジェクトXで紹介された名うての方なのです。誰も手掛けたことのない黒マグロのの完全養殖、つまり飼育母体魚から産卵受精させ、人工ふ化仔魚⇒人工稚魚⇒人工幼魚⇒人工親魚⇒再び受精卵となるサイクルを人間の手で、平成14年に世界で始めて成功させた方なのです。
マグロといえば寿司のネタとして私たち日本人には何かと馴染みの深い魚です。その漁獲量は年々減り続け、資源枯渇を心配した国際会議によって漁獲量の制限が打ち出されるなどのニュースが最近、新聞紙上を賑わせているようです。
熊井先生の話は学者らしく研究データーやマグロをめぐる国内外情勢をパワーポイントで説明していく、どちらかというと面白さに欠ける語り口ですが、さすが世界の頂点を極めただけのことはあると納得して聞き入りました。
私もかつて宇和島水産高校漁業科に学び、実習船愛媛丸で珊瑚海までマグロを追った経験があるだけにとても興味のある話しでした。特にマグロが時速90キロで泳ぐという事実や、マグロが生まれてから死ぬまで泳ぎ続けるのは体温を一定に保つためという話しなど、今まで聴いたことのない話しが随所に出てきました。
かつて数年前交流をしている奄美大島瀬戸内町へ講演に行った折、マグロの養殖場を見学する機会に恵まれ、感動した思い出があるだけに、スライドに出てくる奄美の海の思い出がつい昨日のことのように思い出されました。
四国でも旧内海村や先日訪ねた大月町でクロマグロの養殖が始まっており、養殖もののマグロが店頭や寿司屋に並ぶのもそんなに遠くはないようです。
人のやらない事をやることは勇気のいることだし、失敗といういくつものハードルを越えた話は、夕日を地域資源にまちづくりに取り組んだ私の話とどこかよく似た話でした。
会場には10数人、知人友人の顔もちらほら、さすが前向きな人たちは日曜日でもこうして絶えず学ぶ心を忘れない動きをしていると、感心させられました。
「クロマグロ 今では養殖 するという 何もそこまで いやいや価値が」
「日曜と いうにあの人 顔を出し 学ぶ姿に 頭下がりて」
「話し聞き マグロの寿司を 食べなくて 土用丑の日 ウナギ食うとは」
「ああ俺も 南の海に マグロ追い 今は懐かし 少年の頃」