○寄付のお願い
自治会長をしていると様々な役職がついてきます。その一つに神社の総代というのがあります。総代は小中学校の頃、勉強の好くできる同級生が右総代になって表彰状を貰いに行くことぐらいしか記憶にないのですが、自治会長の区長になると自然に神社の副総代に祀り上げられるのです。副総代といっても何のことはありません。こまごました雑用が回ってくるだけのことなのです。例によって間もなく行われる春祭りの件について総代会が開かれ前例に習って寄付を集めなければなりません。今日は町内の事業所を回って寄付をお願いして回りました。寄付は顔効きが行くことを良しとします。私も役場に勤めていた関係上顔効きということであちらこちらにお伺いしました。日銀や政府の発表では景気が上向いていざなぎ景気を上回ったなどと報道されていますが、田舎の事業所は何処も厳しいいのでしょう、何処へ行っても「不景気で困る」という話の後に「あんたが来たのでは仕方がないなあ」と言われてしぶしぶのご寄付を頂きました。
「寄付を貰いに行けばその事業所の格や品が分る」といわれるほどに考えさせられることが多い寄付集めでした。「社長がいないので明日にして下さい」「去年は幾らでしたか」「今年は出しますがもう来年は来ないで下さい」「うちが寄付を貰いたいくらいです」などなど様々な反応ですが、中には「御役目ご苦労様です。これは些少ですが、もう来られる頃だろうと思ってご用意をしておきました。どうぞお納め下さい」と、寄付をお願いに行ったこちらが恐縮するような事業所もあるのです。
同じ5千円でも「明日取りに来い」という事業所や「不景気で寄付どころではない」と不満を漏らす事業所があることも事実として受け止めなければなりませんが、折角の5千円をせめて気持ちよくと思うのはこちらの都合でしょうか。
私が総代を務める稲荷神社は狐が神様のお使いをしているとよく言われ、狐の好物が油揚げだと承知しています。ところがどうやらこれはコジツケと誤解による言い伝えのようなのです。そもそも稲荷とは「稲生り」のことで、米の生産をつかさどる神のことです。この神様は別名「御食津神」(みげつかみ)といい、「みけつ」はみき(酒)と、けつ(食べ物)が一つになった言葉「みけつかみ」が「三狐神」とされたため狐の話になったのです。狐が油揚げを好むというのも根拠はないそうです。動物学者が研究のために狐を捕獲するときに使うのはフライなどの油物だそうですが、油物は狐ばかりでなく他の動物も油のにおいは好物のようです。結局は油揚げと狐の色が良く似ていているから狐の好物にしてしまったというのが定説のようです。
「狐など 見たことないのに 寄付集め 稲荷神社の 狐に化かされ」
「狐そば 狸そばとは どこ違う 油揚げ揚げ玉 やはりだまされ」
「銀行で 寄付断りの 張り紙を 横目で見ながら 寄付下さい」
「対応を 見れば会社の 格分る そんな雑談 言いつつ回る」