shin-1さんの日記

○きんつばというお菓子

 昨日シーサイド公園の特産品センターで「きんつば」を買いました。私は子どもの頃から何故かきんつばが好きなんです。辞書できんつばを引いても、適当な言葉が出てきませんし、きんつばを作っている地元菓子製造業のおじさんに聞いても「あんたは物知りじゃきん調べて分かったらわしにも教えてや」と、反対に期待されてしまいました。

 私がきんつばが好きになったのは大した理由はないんです。戦後の物のない、とりわけ甘いものに不足していた頃、何処かで父親がきんつばを貰ってきて、酔った親父は真夜中だというのに寝ていた私たち子ども全員起こし、「いいものを貰ってきたから食え」と言うのです。みんな眠い目をこすりながら「美味しい」と言って食べました。私はあまり美味しいので半分を新聞紙に包んで水屋にしまって寝ました。

 明くる日学校から帰って食べようと思いましたが何処を探しても見つかりませんでした。ちゃっかり屋の弟に食べられてしまっていたのです。食い物の恨みは恐ろしいといいますが、あのきんつばの思い出は今も忘れられません。

 きんつばは甘く味付けした小倉あずきがぎっしりと詰まってあずきを薄い衣で包んでいるだけのシンプルな和菓子ですが、渋いお茶で食べるとこれがまた美味いのです。

 きんつばが誕生したのは江戸時代だそうで、うるち米の粉でつくった皮で小豆餡を包み楕円形にして釜の上で焼いたのが始まりで、真ん中をへこませた姿が刀の鍔に似ていることから銀鍔とよばれていたそうです。その後上方から江戸に伝わり銀より金という江戸っ子気質が金鍔に変化させ、浅草馬道に「おかめのきんつば」店が現れ、四角に切った角型六法焼きという現在のきんつばの形が出来上がりました。

 きんつばは決して上菓子ではないのですが、きちんとした桐箱にでも入れられると、まるで献上品のような気品が漂います。

 私の買ったものは発泡スチロールのトレーに5個入れられ、ラップをしているだけの簡単なものでしたが、それでも1個食べて、子どもの頃と同じ水屋にしまいました。妻いわく「そんな所へしまったら忘れるよ。誰も取りゃせんのに」・・・・・・。いいえきんつばだけはしまっておきたいのです。

 でも2~3日経っても誰も手をつけず、結局3個は賞味期限切れであえなくゴミ袋行きとなりました。勿体無い話です。子どもの頃「お金持ちになったらきんつばを腹いっぱい食べよう」と思った若松少年の夢は叶えられましたが、半分食べられたきんつば時代とは何故か幸せ感は薄れていました。

 親父にこの話をしたら覚えていないとけんもほろろでした。

 「きんつばを腹と水屋にしまい込む妻さえ太ると見向きもされず」

 「きんつばを前にゴクンと唾を飲む子どもの頃の懐かしきかな」

 「耳元できんつば食うか親父さん鍔は食えぬと唾を飛ばして」  

 きんつば私の思い出記」でした。

 

[ この記事をシェアする ]