shin-1さんの日記

○薬を間違えて飲んでいた親父

 毎朝の日課にしている散歩から帰って食事をしている親父の隠居を訪ねました。腕が器用な親父は大工さんに少し手伝ってもらつたものの、殆ど自分の力で居間の掘り炬燵を造り、ちゃぶ台も適当なものを再利用して使っているのです。今更ながら親父の生き方には頭が下がる思いがするのです。

 そんな親父のここ2~3日は傍で見ても明らかに様子がおかしく感じられました。眠たいのに寝れないというのです。交通事故で痛めた足の付け根の痛みも一向に引かず「わしもいよいよだ」とこぼすようになっていたのです。ところが今朝隠居に行ってみるとすこぶる上機嫌で顔色もよく食事をしていました。聞けば先日私が「足が痛いので診療所へ連れて行ってくれ」というので、診療所へ連れて行った折、痛み止めの注射を打ち、痛み止めの薬をもらって帰りましたが、その薬と一緒に枕元の薬箱に入れて、看護婦さんの言われるまま朝夕飲んでいたようです。ところが飲むと眠たくなる日が2~3日続くので、昨晩薬箱の中を開けて見ると、呑んだはずの痛み止めはそのままで、寝れない時に飲む安定剤が2錠づつ殆どなくなっているこに気づいたそうで、昨晩はその痛み止めを飲んだところ痛みも引いて、久しぶりにぐっすり寝たそうなのです。

 安定剤は眠り薬です。痛み止めならぬ眠り薬を朝夕飲んでいたのですから眠たいはずです。今朝は親父に「薬は気をつけて飲まないと薬が毒になる」としっかりと大きな声で話をしてやりました。そして痛み止めをちゃぶ台の上に置いてマジックインクで赤く塗り、「痛み止め」と書いてやりました。薬箱から安定剤を取り出して見ると、親父が言うように確かに薬の姿形は同じようなので、間違うはずだと思いました。

 正露丸くらいしか薬を飲まない私に比べ、親父は病院へ行く度に薬をもらい、安定剤だの血圧の薬だの色々飲んでいますが、よく間違わずに飲むなと感心して見ていましたが、これからは薬の飲み方も少し注意してやらないといけないようです。

 今の病院は正直言って薬を出し過ぎます。しかも一応聞くには聞くのですが、それは儀礼的でどこの病院でどんな薬を処方されているか、年寄りに聞いても耳が遠く、しかも何の薬をどのくらい飲んでいるかなど即答できないのです。そのために家族がいるのですから病院や医師を責めることはできませんが、薬は使用方法を間違えれば毒になることを教えてくれました。

 隠居で暮らしているとはいえ同じ敷地に住んでいる安心感が親父にも私たちにもあって、聞こえの良い在宅介護をしていますが、認知症も殆ど感じられず、むしろ自立型高齢者の親父の面倒は余り気にもせず暮してきましたが、いよいよ介護の必要性を痛感しました。

 やがて行く道だと思えば、親父の加齢による衰えはわが身のこととして考えなければなりません。90歳の今日まで長生きし、介護も必要としなかった親父なので、これから10年はしっかりと向き合って暮らしたいと思うのです。

  「間違って 違う薬を 飲んでいた 笑い話で 良かったものの」

  「薬箱 大事小事に 保存して 賞味期限が 過ぎたものまで」

  「絶対に 医者の言うこと 守ってる 信じて飲むと 効いた気分に」

  「あの医者が いるから今の 健康が 信じて通う 七キロの道」



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