shin-1さんの日記

投稿者: | 2007年7月31日

○船で海に飛び出そう

 毎日海を見て育っているように見える双海の子どもたちも、実は意外と海の事を知らないし海に触れる機会が少ないのです。そんな子どもたちに郷学の一貫として毎年地元の漁船に乗せて海を体感する催しが今年も開かれました。子どもたちにとっては期待も大きいが、船酔いなどの不安もあってドキドキするような体験に違いありません。でも海はロマンのふるさとといわれるように何処かワクワクするのです。

 支所の前へ早朝7時30分に集合し人数の確認や注意事項を説舞した後、歩いて漁港まで行きました。

 

ここで救命胴着を着用し出発式をしました。私は委員長なので海の上なので事故が起こらないよう細心の注意を払うことや、何時も見ている青島に上陸し、青島から自分のふるさとを見ることの意味などについて簡単なあいさつをしました。あゆみ板を使って4隻の底引き網漁船に分乗し、さあいよいよ出航です。

 港の桟橋ではありませんが、漁港の岸壁から一人の素敵な女性が手を振って見送ってくれました。翠小学校の和田校長先生です。先生は今年の4月、鹿島校長先生に代わって赴任してこられましたが、実行委員ということもあっておもしろ教室のその都度に顔を出されていますが、今回は所用で残る事になり見送るだけでもと参加されました。

 この日は台風5号の接近で海のざわめきが心配されましたが、取り越し苦労のようで海は穏やかでした。でも霞がかかって遠望が利かず、港の赤い灯台の向こうに見える双海のシンボル本尊山も何処となくかすんで見えました。

 子どもたちも最初は元気で舳先によじ登ったり、まるでネズミのように船内をチョロチョロしていました。このツアーには保健士の大谷香代子さんも医療スタッフとして参加してくれました。旧姓井上香代子さん時代は無人島に行ったりフロンティア塾に参加したり、一緒に色々な活動に参加した懐かしい顔なので、「まるで無人島へ行った頃みたいじゃねえ」と思い出を話し合いました。

 針路を西に進んでいた漁船が約40分で漁場に到着し、いよいよ底引き網の操業開始です。危険なため船尾には立ち入れませんが、網入れや網上げは何時も緊張が走り、漁師さんの顔も真剣そのものです。今は魚群探知機やGPSなどの電子機器が普及して、この漁船も海底にある漁礁が映し出され、その側を縫うように網を引っ張るのです。

 風も無風になって船の速力も網を引っ張っているためノロノロで、波任せといったところでしょうか、案の定子どもたちは無口になって船酔いが始まったようです。船内のあちこちでグロッキーのためか、ゴロゴロ寝込んでしまいました。一人は船酔いがひどく吐いていたようです。

 1時間余りのえい航の後網上げが始まりました。子どもたちも興奮気味で先程の船酔いは何処へやら、魚がぴちぴち跳ねる姿に大きな歓声が上がりました。今日の漁場はカマス狙いだそうですが、その狙い通りカマスが沢山網にかかっていましたし鯛や小魚も沢山漁獲され大漁でした。私と同行した西岡さんが手伝いに加わり魚の選別作業をしました。トロ箱に魚の種類ごとにより分けましたが、太長な発泡スチロールのトロ箱に5個も獲れました。

 網を洗浄しながら青島へ向かいましたが、美しい弁天岬が見えてきました。私たちの町から見える弁天岬は地球が丸いせいか何時も途切れて島のように見えますが実際はくっついているのです。

 いよいよ目的地である青島の港に到着しました。この港へ上陸するのは何年ぶりだろうと思うほど長い間来ていません。島通いの連絡船が発着する桟橋に特別許可をもらって接岸係留し、子どもたちは島への第一歩を記しました。するとどうでしょう。何処からともなくたくさんの猫が現れ、子ども対の身の回りは騒然とし始めました。この島は食糧難な時代に芋や麦が栽培されていました。特にサツマイモは野ネズミの被害に手を焼いていました。この野ネズミを駆除するため猫が放たれましたが、野ネズミは駆除されたものの今度は猫が増え続け、今では人間の数より猫の数が多いほど繁殖したのです。

 スタッフが海鮮バーベキューの昼食準備をしている間、子どもたちは私の案内で島内探検に出かけました。普通は元小学校の校舎見学なのですが、この日は弁天岬までの細い畑の中の道を進みました。一列に並んでの進軍です。途中殉難の碑の前を通りました。海の上に浮かぶ孤島ゆえに悲しい海難事故の歴史が秘められた記念碑です。この記念碑はわが町の上灘青年団も建立に協力しており、海につながる運命共同体として価値ある歴史なので詳しく説明をしておきました。

 この日はあいにく霞んだ天気で地かたの双海町辺りは弁天岬から見えませんでしたので、34人の子どもたちは畑中の道に一列に並んで、一斉に双海町に向かって大きな声を張り上げました。人の声など絶対に聞こえるはずがない遠さですが、思いを伝えるためのパフォーマンスをさせてしまいました。

 島内探検から帰ってみると既に海鮮バーベキューが出来ており、先程漁獲したアジやカマスが炭火で程よく焼かれ、香りを漂わせていました。早速持ってきたご飯だけの弁当を広げにわか設えの木陰に陣取り昼食を楽しました。飛び切り新鮮なアジやカマスは飛び切り極上な味に子どもたちは何匹もお代わりをしていました。匂いに吊られた猫も沢山集まり、賑やかな昼食です。

 やがて満腹、思い思いに自由時間を過ごし、船着場の前で記念撮影をしました。

 さっきまでの船酔い姿が嘘のような張り切りようで青島の思い出を心に焼き付けました。やがて出航時間の2時となり地元の方の見送りを受けて島を後にしました。双海町上灘漁港までは約1時間弱の道程です。双海町が近くなるにつれて遠望が利き始め、牛の峰やシーサイド公園が綺麗に見えました。子どもたちは舳先で心地よい時間を過ごしながらふるさとの姿を沖合いから見学していました。


 港に着いて簡単な閉会式を行い、漁獲した魚をおすそ分けしてもらい、氷を入れて迎えにきた家族とそれぞれ帰って行きました。久しぶりに童心に返ったいいプログラムに参加して、意義ある一日を終えました。

  「沖を見る 今度は沖から ふるさとを 同じ目線で まったく違って」

  「いい町と しみじみ思う 海からの 眺め楽しみ 住める悦び」

  「人よりも 猫数多い 青島に 住む人絶えし 人家目に付く」

  「何年か ぶりに訪ねし 青島も 過疎と高齢 更に厳しく」 

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