shin-1さんの日記

○日本人は餅拾いがお好き

 日本では何かにつけて餅を撒きます。新築棟上、船の進水式、夏祭りのイベントなどなど、節目や慶事には決まって餅を撒くのです。私のようにまちづくりに深く関わった人間は、もう30年間も餅を撒いてきました。その都度何の疑いもなくではなく、その都度疑問は深まるばかりです。というのもこれほどO157などと騒いでいるのに、何故か餅は地面へ投げるのです。不衛生極まりないと思うのですが、相変わらず地面に落ちた餅を拾い、勿論洗ってはいますが焼いたり煮たりして食べるのです。戦前や戦後間もない物の不足した時代ならいざ知らず、物の豊かな現代にあってもなお何の不思議がることもなく撒き続け拾い続けているのです。最近ではやっとその事に気付いて、ビニールの袋に入れて撒いているのを見かけるようになりましたが、それでも主催者側から言わせるとビニールの袋に入れる面倒臭さを思うとやはりばら撒きが一番なのです。食品の衛生については何かと文句をつける保健所もこのことにはタブーですから、余り詮索はしない方がいいかも知れません。

 昨日は氏神様の春祭りで、神官にお払いを受けた餅を2俵も撒きました。神社は本殿、幣殿、拝殿という三つのブロックに分けられますが、餅を撒くのは拝殿です。拝殿は3方が吹き抜けになっているので餅撒きには都合がいいように出来ています。3時からの予告をしていたので太鼓の音にあわせて私たち総代が一斉に参加者めがけて投げるのです。殆どが顔見知りの人たちばかりなので、後で「投げてくれなかった」と恨まれないよう万遍に撒きました。神社の境内はいつの間にか人で埋まるほど集まっていました。

 餅撒きが終わるといよいよ福の交換が始まります。前もって餅に番号を張っておき、その番号が福交換所へ持ち込まれてくるのです。さどい人は20もの福餅を拾い、交換所へわれ先にやって来ます。交換所の窓口は蜂の巣をつついたような大騒ぎで、活気がみなぎっていました。1番・7番・13番、縁起を担いで4や9などの番号は欠番にしています。予想以上の景品に喜ぶ人、「難だティシュペーパーか」などと不平を言う人など様々です。中には扇風機が当って大喜びの人もいました。この福撒き、昔は確か竹でした。危ないからと変えたのですが、これは正解、でも約700枚の番号を餅に貼り付ける作業や、景品交換の準備も中々世話の焼ける作業なのです。でもみんな夜来の雨もあがった境内で喜んで福撒きを楽しみました。

 直会が終わると今度はお札配りです。寄付をしてもらった一軒一軒へお邪魔し、木札と紅白の重ね餅を半紙に包んで渡すのです。これも宮総代の大切な仕事ですから粗相のないように配って歩きました。長い一日が終わりました。快い疲れです。今年で2年目、2年任期なのでいよいよ宮総代最後の仕事です。後は秋祭りの神輿守りへと仕事は移り行くのです。

 ちなみにわが妻は餅拾いに参加して20個ほど拾い、箒とティッシュペーパーを貰って帰っていました。それでも鬼の首を取ったような武勇伝を私に聞かせてくれました。

  「餅拾い 下手糞な人 上を向き 地べた這う人 しっかりゲット」

  「不思議だな 地べたに落ちた 餅拾い 腹もうずかず 神のお陰か」

  「その昔 亀の子タワシ 景品で 今はティッシュが 最低ライン」

  「酒飲まぬ 子どもに酒が 当ったよ 親父喜ぶ 今宵の夕餉」

[ この記事をシェアする ]