shin-1さんの日記

投稿者: | 2006年4月24日

○打診する

 先日定期健康診断で診察の先生に質問しました。「先生、いつかは質問したいと思ってたのですが、先生が今日も『はい上半身裸になって』といって腹や胸や背中に聴診器を当てた後、体をトントン叩きますよね。あれは何を調べているのですか」。唐突に私が質問したものですから「これは病気にならないためのおまじない」と言って側にいた看護婦さんの笑いを誘いました。透かさず私は「えっお医者さんがおまじないですか」と言ったものですから医者は『冗談冗談、これは打診といって、長年医者をしている私のような偉い先生には体内の異常な音が聞こえるのです」とさらりかわされました。私は前に何かの本で読んでこの打診という診療方法の語源を知っていたので、先生失礼ながらとそのことを話してしまったのです。医者は『若松さんは物知りだから適わんなー」と照れながら、「実は私も医者になりだちの頃、同じような質問を先生にしたことがあって、その先生に叱られると思いきや、『医者を志すものは疑問があったら徹底的に調べることが肝心でいい質問です』と褒められたことがあります。若松さんも褒めてあげます」と言うのです。「それにしても打診の語源がそんな所にあったなんて知りませんでした。今日はええ勉強になりました。診療費は払って帰ってください」でまた大笑いしました。

 お医者さんはトントントンと体を叩いて音を聞き、その後聴診器で音を聞きます。この医療行為を打診法というのだそうです。この方法が生まれたのは18世紀の終わりから19世紀のころだそうです。オーストリアのアウエンンブルッガー医師が叩くことによって内臓の働きに異常がないかどうか知ろうとしたことが始まりといわれています。彼は幼い頃、父親が酒樽を叩いてその音の違いで酒の残量を確認するのを見て育ちました。酒樽の音で中身が分るのなら人間の体内だって分るはずではないかと考えたのです。そして打診が診療方法として間違いないと医学的に完成させたのがナポレオンの従医だったフランスのコルブィサール・デ・マレ医師でした。

 しかし私が質問した先生が言うように音でその人の異常を判断するには、その人の正常な音を知っておかねばならないはずで、多くの経験が必要ではないかと考えられます。打診する色々な先生のやり方を見てきましたが、そうとも思えないただ仕草だけの先生も相当いらっしゃるようです。

 日本にもこの方法は江戸時代に伝わってきたそうですが、これとよく似たことを私たちもやっています。夏になるスイカのテレ具合を見るのです。硬い金属音のような音がしたら美味しいスイカと教わって、必ずこの行為をしますが、余り当った記憶はありません。今度スイカを切る時、「この打診法は医療行為である」なんて話しながらやってみて下さい。奥さんから「お父さん頭がおかしくなったんじゃあないの」と馬鹿にされるのが落ちです。先日もその話をしたら妻に「お父さん偉いお医者さんに滅多なことを聞かれん。恥ずかしい」と言われました。でも妻だってこのことは知らなかったようです。エヘン。どうだ参ったか。そういえば「打診」なんて言葉がありました。

  「人間と スイカは違う 打診法 俺の体の 何処が熟れてる」

  「なあ先生 そんな仕草で 分るのか 俺の体の 異常部分が」

  「よくもまあ 聞いたもんだと 呆れ顔 知ったかぶりで 医者から一本」

  「俺だって 今日の相談 打診する 叩きもせずに 何とはなしに」

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