shin-1さんの日記

投稿者: | 2006年4月22日

○雨の中の来訪者

 約束の5時きっかりに電話が鳴りました。「お約束の時間になっても来ないのですが、あなたは今どちらにいますか」。「はい私は下灘のコミセン前の駐車場にいますが、あなたこそどちらにいますか」。「はい私は双海町役場の前にいます」。一瞬しもたと思い記憶の糸を手繰り寄せました。私は確かに下灘のコミセンと言ったつもり、相手も双海町役場前と聞いたつもりの勘違いでした。間違いに気付いたのと携帯電話のお陰で約10分の遅れで二人の女性に再会しました。「お久しぶりです」「お元気ですか」そんな会話もそこそこに私の軽四の車に二人を乗せ、例によって下浜のトンネルを通る近道坂道曲がり道を一気に走りあがりました。夕闇迫る、しかも霧雨の中での走行に、まるで私の腕をつかまんばかりに「大丈夫ですか」とか、「私にはこの道は無理だわ」なんて会話もそこそこに人間牧場到着です。

普通の日だと夕日の綺麗な頃でしょうが、昼前から降り出した雨は本降りとなり視界は悪く、一昨日の写真に写った場所と同じとは思えない姿なのです。でも初めて来た二人は五右衛門風呂をまず見学し、風呂釜の中へ入って写真を撮ったりで相当気に入ったようでした。水平線の家に上がり込んでも興味津々、ロフト専用の収納階段には登るわ戸棚は開けるわ、やれスライド窓を開けて見せてと矢継ぎ早の見学でした。

 あいにくまだ座布団が用意されていないので魚梁瀬杉のテーブルを囲んで毛布を敷いて座り、それから約一時間、3人で雑談にふけりました。女性とはこうも気がつくものか、女性にも色々な人がいるなと思わせる2人の行動を観察しながら・・・・・・・。

 一人の女性は家が家具屋とか、東南アジアの雑貨も扱っているとあって土産代わりに持参したのは花器でした。新聞紙の包装を解き渋みのある花器を取り出すと、庭先に出て野の花を一輪摘んで来て中のコップに水を張り花を活けたのです。魚梁瀬杉のテーブルはまるで今までとは変わった雰囲気に生まれ変わりました。さすが酒蔵元のデザインを担当しながら家具屋を営んでいるだけのことはあるなと思わせる女性らしい手際よさです。

 もう一人の女性はバッグから折りたたんだ二枚のコピー用紙を取り出しそれぞれに配ってくれました。開けてみると現代詩が書かれていました。彼女はご主人亡き後家業の文房具屋を兼ねた書店を経営していますが、詩が好きイベントが好きで、文化協会のイベントの度に司会などを進んで行う明るい人です。今回の人間牧場訪問も彼女の子育てに関する心情吐露の長い手紙が私に届いたことからスタートしたのです。

 息子さんの悩みはかなり深刻なのですが、彼女の言葉は笑って話すものですから左程には聞えませんでした。でも時おり言葉に詰まる姿からは胸のつかえのようなものを感じました。亡くなった女性詩人茨城紀子の生前に書いた生前葬の手紙は、彼女は「大好きだから」と紹介してくれましたが、心を代弁しているようにも読み取れました。人それぞれ色々な悩みをしょって生きているものなのだということを感じさせる出会いでした。

 海沿いのおしゃれなレストランで食事をし、雨の中をやって来て雨の中へと去って行った二人の女性の影を追いながら、わが妻を思いました。最近体が不調のようで、今日は仕事が終わると整体へ行くと言ってました。帰ってみると孫と娘がやって来ていて妻はその対応に追われていました。体は大丈夫かなと思いつつ食事のテーブルにつきました。

  「花もなし 女性花器を 携えて 野辺花一輪 そっと沿え活け」

  「コピーした 現代詩読む 女子目に 薄っすら涙 子育て悩み」

  「女性にも 色々タイプ ありますね この歳なると 鋭く観察」

  「雨の中 人間牧場 やって来た 二人の女性 眺望見せねば」

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