人間牧場

〇タンポポのように
 春になると畑の隅に黄色いタンポポの花が咲いて、思わず立ちどまり座り込んで見てしまいます。やがて季節が進むとこれらの野の花々は、雑草というひっくるめた名のもとに、草刈り機の餌食となって跡形もなく消えてしまうのです。

 若い頃頼まれて雑誌に、その頃仲間とともに夢中になっていた無人島キャンプの模様を、「感動はタンポポのように」という粗末な記事を書いたことを思い出しました。捨ててはいないのでどこかにしまい忘れていますが、そのどこかさえも分らぬ歳になりました。

 昨日畑の隅に草刈りの難を逃れたタンポポの花柄を見つけました。それは奇麗な白い球状で、間もなく風が吹けば散り、風に乗ってどこか近くの場所に着地し、種となって芽生えるものと思われます。タンポポの花のように自分の幸せや感動をあちらこちらにお裾分けしたと思いました。

 青春時代は理想に燃えた「恰好いい考え」でした。気持ちだけは今もその純粋さを持っていますが、大したことも出来ぬまま歳を重ねています。今からでも遅くはない。歳のせいにすることなく、「タンポポのように」理想を追い求め続けて生きたい・・・。

「感動は タンポポのようにと 書いた記事 雑誌に載った どこへしまった」
「畑隅 黄色いタンポポ 咲いている 思わずしゃがんで 奇麗と愛でる」
「草刈の 難を逃れた 綿帽子 風に吹かれて どこかへ着地」
「理想燃え 動いたあの頃 懐かしい まだまだこれから タンポポ勇気」

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