〇ハーモニカで吹いた「ああ上野駅」
先日50人ほどの小さな講演会に講師として招かれました。「心豊かに生きる」と題した生活設計に関する内容だったので、「氷山の一角」のパワーポイントを使い、木になるカバンに忍ばせていたハーモニカを下手糞ながら即興で吹きました。
するとどうでしょう、参加者の年齢相応に合わせて見繕って私の吹いた、井沢八郎の「ああ上野駅」やペギー葉山の「南国土佐を後にして」、それに舟木一夫の「高校3年生」が心の中の青春時代の思い出を呼び起こしたのか大うけで、みんなの大合唱となり、大いに盛り上がりました。
人にはそれぞれ過ぎ越し人生があります。多分そのつれづれに巷に流れたであろう思い出の歌があるはずです。かく言う私もこの3曲には思い出があり、特に「ああ上野駅」は、集団就職列車で就職する同級生を、国鉄下灘駅へ見送りに出かけた、涙の別れのワンカットシーンが心に残っているのです。
その見送った同級生も都会の雑踏の中に吸い込まれ、消えて久しく時の流れを感じずにはいられませんが、私は幸せなことに生まれたこの町に住み、多分この町で死んで行くことでしょうが、もの悲しいハーモニカの音色は、そんな昔の物語を思い出させてくれるので、時々吹いて当時の見送った同級生の顔を思い出しながら吹いています。