〇面の収集
私は若い頃、面の収集に凝ったことがありました。大分県本匠村へ講演に出かけ、当時公民館に勤めていた川野義和さんの家に泊めてもらった折、河野さんのお父さんが自分で彫った立派な能面を頂き、その能面に魅せられたのが発端でした。その後石見神楽や出雲神楽のふるさとである島根県へ旅した折も、魔除けの神楽面を頂き、何かにつけて面を買い求めていました。その収集熱もいつの間にか冷めていますが、当時収集した面の数々は親父の手によって、家の横に造っている海の資料館「海舟館」の板壁に行儀よく飾られています。
今朝書斎の書棚を整理していると、隅に4体の面を見つけました。3体は日本古来の能面ですが、一体は竹でできた珍しいものです。この面は数年前製材業を営んでいる従兄弟の西下芳雄さんから頂いたと記憶していますが、髭を蓄えた古老の面の裏側を見ると、何と筍なのです。筍は柔らかいので乾燥して彫ったものと思われますが、それにしても筍で面を彫るなんてさすが歴史の古い中国だと感心しました。
最近尖閣諸島の国有化問題以来日本と中国の関係が悪化しています。日本には日本の考えがあってのことでしょうが、先の太平洋戦争で日本は中国へ進出し中国を戦場に大きな禍根を残していることはまぎれもない事実です。戦後70年経ってもまだその傷跡を拭うことはできないのです。書棚の面の横に中国の古書の大学を置いています。中江藤樹や二宮尊徳等の先人に大きな影響を与えたとされるこの本も、また四国遍路を1200年前に開いた弘法大師空海も中国の大きな影響を受けているのです。
そのことを思えば中国の存在の意義を今一度見直し、良好な関係を復活しなれば、お互いの国が不利益をこうむるのです。政治家は「いつでも会話の扉は開いている」と言っていますが、歴史認識なしに扉を叩いても扉は容易に開かないのです。日中国交正常化、戦略的互恵関係などの言葉はよく使われますが、私たち国民を正しい方向に導くのも政治家の仕事であることを忘れないで欲しいと願っています。
今日は朝から雨が降っていて農作業ができません。この一週間忙しかったので大学でも読みながらのんびり過ごすと思っています。
「あららまま 書棚の隅に 面四つ 中に筍 使ったものも」
「凄いなあ こんな発想 するなんて 中国人の 偉大さ思う」
「面食いじゃ ないけど面を 数多く 収集したが 今は熱冷め」
「今日辺り、四つの面を 海舟館 移し板壁 飾ろう思う」