〇山野草の花咲く頃
私たちの身の回りには人知れず咲き、人知れず散って行く花が沢山あります。その名前さえ調べる手立てもなくやり過ごしていますが、一度ゆっくりと調べてみたいものだと思うものの、日々の雑事に追われ、時には除草や草刈機で雑草として処理されてしまうのです。
昨日人間牧場を訪ねた人が道端に咲いているアザミの花を見て、「まあ綺麗、久しぶりにアザミの花を見ました」と感激していました。人間牧場では当たり前どころか棘のあるアザミは最早雑草でしかなく、草刈機で刈り倒してしまって、美しいと見ることすら殆んどないのです。
それでもミツバチを飼うようになった2年前からは野草も貴重な蜜源だと思うと、何となく愛おしい気もするのです。今は人間牧場周辺もミカンの花が満開で、たっぷりある蜜源を求めて蜂たちは忙しそうに飛び回っているようですが、今年はどういう訳か人間牧場の分蜂が思わしくなく、師匠が届けてくれている観察用の巣箱には入る気配がなく、キンリョウヘンの鉢植えを置いた巣箱も斥候蜂は飛んで来るものの入居には至っていないのです。人間は欲の皮が突っ張るもので、家の裏庭に4箱、人間牧場に3箱入居しているのですから贅沢はいえないのです。馬路村の木下さんから蜂のメールが届き、7月ごろには越冬した巣箱の採蜜をするそうですが、私もそろそろ巣箱の点検をして計画を立てたいと思っているところです。
人間牧場の直ぐ横の道に白い花がいっぱい咲いているのを見つけました。うつぎ、別名卯の花ともいうこの花は「夏は来ぬ」という歌に歌われている花です。匂いのない卯の花を歌の中では「匂う垣根に」と歌っているのも不思議といえば不思議です。
田舎の畑は過疎や高齢化で作り手がいなくなり、カズラや野茨がはびこって瞬く間に人を寄せ付けなくなります。特に野バラは棘が鋭く、怪我をすることもしばしばです。この時期になるとウツギと共に白い野バラが沢山咲いて、道行く人の目を楽しませてくれるのです。アザミも野バラも棘があるゆえ美しいのかも知れません。
「野山咲く ゆえに美しい 花たちの 名前も知らず ただひっそりと」
「わあ綺麗 思わず思い 立ち止まる 花に鼻寄せ 匂い嗅ぎ分け」
「この花を 慈しむのは 私だけ 思えば余計 愛しく思う」
「雑草と 思い刈り取る アザミさえ 風流人は 綺麗と愛でる」