〇心を磨く100の智恵・その6「順境では注意深く逆境では悩まない」
【逆境にあるときは、すべてのことが良薬となる。志や行いが知らずうちに磨かれていくからだ。順境にあるときは、武器をもった兵に取り囲まれたようなものである。知らずうちにその身は殺ぎ落とされていく。】
私は凡人ゆえに順境な時は有頂天になります。逆に失敗や反対にあって逆境に逢うと深い悩みの淵をさまようのです。でもこの歳になるとさすがに有頂天になるようなこともなく、また失敗や反対も殆んどないので余り悩みませんが、人は反対や学校を超えた数が多いほど逞しくなるものです。
私が町名変更問題の責任を取らされて、教育委員会から産業課へ職場を変わらされ失意に沈んでいた頃、二人の人から色紙が届きました。一人は静岡県にする全公連理事だった朝比奈博さんです。朝比奈さんから届いた色紙には、「ぼうふらも 人を刺すよな 蚊になるまでは 泥水すすり 浮き沈み」と書かれていました。私の境遇をぼうふらと蚊の人生に見立てての励ましの言葉でした。今はぼうふらのように泥水をすすっていきているが、その泥水が栄養となり、やがて人を刺すような立派な蚊になれよと諭したこの言葉に、どれ程勇気を貰ったことでしょう。
もう一人は県公連会長の岡島明夫さんからでした。「今は充電期間」と、まあ分かりやすい4文字熟語です。それまでは日本一の公民館主事を目指すだの、日本一の町をつくるなどと随分粋に燃えて突っ張り、突っ走っていたのです。そんな気負いから落胆している私を見て、少しゆっくりと自分や周りの状況をを見つめて休む、「充電期間」にするよう諭してくれたのです。この言葉も私の心に余裕や再起動の気風を起こさせてくれたのです。
以来順境の時は注意深くなりました。また逆境にあった時も、逆境の次には必ずいいことがあると信じて仕事をするようになりました。私の35年間の公務員生活はまさに七転び七起きでしたが、最後の一起きが加わったお陰で、八起きのハッピーエンドで終ることができたようです。
順風満帆の居心地の良さは慢心となり、傲慢な言動を生むものです。それは自分では中々気付かないもので、すでに堕落の道が始まっているのです。また失敗や反対に遭い失意のどん底にある時、失ったものを探して無駄な時間を過ごすより、挫折を乗り越えた経験をポジティブにイメージして事に当たれば何とかなるものです。必死で吹きまくる向かい風に向かうのではなく、くるりその身を反転すれば向かい風は追い風となるのです。
逆境には逆らわずこれも天から与えられた試練だと思い、「仕方がないと」と諦め、務めて明るく振舞うことこそ肝要です。人間は失敗の数程大きく逞しくなるものです。
「逆境で 悩むな言われ そうしたら 意外や意外 希望生まれる」
「七回も 転んだけれど 七度起き 最後一回 起きて成功」
「逆境で 諭しの言葉 くれた人 恩人ゆえに 終生忘れじ」
「助けられ 今度は俺が 人助け 恩返しして 人生終ろう」