shin-1さんの日記

○庭の隅に置いている箱庭

 私の家は親父と私が大体同じ趣味ということもあって、海の資料館「海舟館」や、私設公民館「煙会所」などを中心に、様々な民俗資料的なものが置かれています。その殆どは「海舟館」と「煙会所」に展示されていますが、中には無造作に庭の隅に置かれているものあるのです。

 今日は飛び込みで町並を研究している岡崎さんが沖野先生と日本ナショナルトラスト専門研究員の住田さんを伴ってやって来ました。沖野先生は埋蔵文化財の専門家で今年の春まで上灘中学校に勤務していましたが、思うところあって早期退職をされました。岡崎さんは私の旧友でまち歩きの大家です。私が代表を務めるえひめ地域づくり研究会議の事務局長でもあるのですが、どういう訳か私の家にはまだ来たことがないというのです。今日は翠小学校へ来たついでにわが家へ立ち寄ってくれました。

 まず私の家に来るなりまち歩きウォッチャーの目に留まったのは、親父の隠居の前に置いている箱庭です。私はいつも見慣れていてそんなにマジマジ見たことはなかったのですが、彼が言うのにはとても珍しいものだそうです。

 この箱庭がわが家へやって来たのはまだ20年ほど前です。双海町内で製材業を営む従兄弟の家にあったものですが、余りこうしたものに趣味のない彼は、畑の隅に無造作に置いて雑草に埋もれていました。目敏く箱庭を見つけた親父は譲り受けて家に持って帰り傷んだ部分を修復したのです。まず海岸へ行って小さなそれらしい青石を探し、一つ一つ丁寧に石垣から修復しました。それは気の遠くなるような作業でしたが親父の器用さも手伝っていい雰囲気に修復が出来ました。この箱庭には洋式本館と和式の蔵が2棟ありますが、洋式本館の屋上に青銅製の屋根があったらしいのですが、完全に紛失していました。親父はこれも銅板を木槌で叩いて復元したのです。また枯れた樹木を植え替えました。最初は松の木が植わっていたようですが、盆栽鉢に植えられていたものを活用し一本は五葉松、もう一本は梅を植えました。いい感じです。

 風格が戻った箱庭は最初ブロックを敷いていましたが、その後御影石にしたため、予想以上に引き立って、岡崎さんの目を止めたのだと思うのです。

 この御影石はシーサイド公園に地元篤志家のご芳志により童謡の小路を造った折、思わぬ失敗をしてしまいました。石に刻んだ文字が間違っていたのです。検査後発見し間違いに気付きましたが後の祭りでした。業者さんの間違いかこちらの間違いか分らぬまま、とりあえず新しいものと交換しました。その時この石の処分に困っていたので、譲り受けて運んで再利用となったのです。裏面には何も掘っていないため見た目にはすごく立派な中国産御影石の置石に変身し、箱庭にマッチして置かれているのです。

 多分わが家が続く限りはこの石はこの場所に置かれているでしょうが、歴史の変化などによってこの石を動かせば、ミステリーじみた話題も生まれるのではないかと思ったりしました。

 それにしてもわが家には私自身も気付かぬ物語が沢山ある事を岡崎さんによって改めて発見してしまいました。

 今日は午前中伊予銀行上灘支店長さんを人間牧場まで案内し、午後は赤とんぼ先生が恋人とんぼの試作品を持参して打ち合わせするなど、何かと慌しくも充実した一日でした。

  「何気なく 庭に置かれた 箱庭を 目敏く見つけ 写真に収め」

  「九十の 親父修復 した庭を まざまざ見つめ 偉いもんだと」

  「失敗の 石を裏して 再利用 後の人々 ミステリーかと」

  「折からの 雨に打たれて 美しく 見える箱庭 少し見直し」

  

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shin-1さんの日記

○家庭菜園も衣替え

 わが家にはかなり広い家庭菜園があって、年老いた親父には少々手に負えないほどの仕事量があります。最も厄介なのはこれから始まる夏場の除草と虫との闘い、それに水やりはかなり骨が折れるようです。これまで親父の健康法だと余り手伝いもせずもっぱら親父に任せていましたが、寄る年波には勝てずそろそろ代替わりしなければならないと、暇を見つけて一緒に過ごすようにしていますが、果たしてこれから私が親父の歳まで、つまりこれから三十年も出来るかと考えると、ゾッとしたりするのです。「まあ出来なくなったらその時よ」とばかりに始めてはみるものの、野菜つくりも中々奥が深くて、季節のカレンダーをまず頭に入れることから始めなければならないのです。天一稲荷神社の春祭りになると夏野菜の苗を植えるとか、文化の日頃にタマネギの苗を植えるとかいったことは簡単に覚えれるのですが、ネギの伏せ替えやジャガイモの根寄せなどの雑事は体に染み付いた親父でないと分らない部分が多く、これからじっくり修行をして教えてもらいたいと思っています。

 そういいつつ、今日はネギの伏せ替えをしました。畑に植えているネギは春先の暖かい気候によって、青々と伸びてきました。中には種保存の原則でしょうか、ネギ坊主が伸びてきました。ネギにはネギ坊主が出るものと出ないものがあって、ネギ坊主が出るものは葉が硬くて薬味用にはなりません。この時期はその硬くなったものを湯がいて酢味噌で和えタコや貝などと一緒にヌタにすると美味しく食べれます。今日植えたものは薬味用のネギです。畑で引き抜いたものの古葉を丁寧に取って葉の部分を切り落とし、新しい畝に植えてゆくのです。今朝親父がその作業を手伝うようにいうので、長靴を履いて畑に出ました。作業の途中でズボンのポケットの携帯電話が鳴りっぱなしで、結局は作業を中断して急ぎのメールに対応するため部屋の中へ入ってしまいました。

 私の場合はいつもこんな結末が多いのです。親父は残った作業を自分ひとりでこなさなければならず、結局迷惑をかけてしまいました。

 今朝畑に出てみると、急逝した親父の弟、つまり私の叔父の葬儀のため2~3日家を留守にしていましたが、その間に親父は近くの雑木林に細い竹を切りに行って全ての夏野菜の垣を作り終えていました。それはもう玄人はだしでまるで芸術品のような垣を作っていました。

 「親父、これはキュウリじゃない、カボチャじゃないの?」と指摘すると、「わしはてっきりキュウリとばかり思っていた」と間違いに気付きました。キュウリと思って垣が必要なため綺麗な垣を作っていました。早速植え替えたようですが、キュウリとカボチャの苗が分りにくいのは私も同じなようです。

 一昨日、種物屋さんで種を買ってきました。これも私買う人、親父植える人、妻調理する人の役割分担が暗黙のうちに決まっていて、目下のところ私は買う人に専念をしています。でもそろそろ私の出番が来たようだと、代替わりの予感を感じる春の朝でした。

  「大洲では 夏日になったと 新聞で わが家はナスビ 苗植え終わる」

  「九十の 親父の指図 受けながら 六十手習い 菜園作業」

  「ネギの苗 頭を切って 植え替える 明日雨予報 合わせるように」

  「この季節 何を植えるか 記憶する 苗価高さに 驚く財布」 

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