○北方領土は?
オーストリア・ウィーンの日本人学校に赴任している友人のN先生から2回目のメールが届きました。その内容を紹介します。
「今回メールしたのは先日お送りした地図の中のショッキングな事実です。ウィーンの日本人学校で同僚の社会科教諭の先生が発見したのですが、日本の北海道の東、いわゆる『北方領土』のことです。見ていただければ分ると思いますが、北方領土でははっきりと『ロシア』の領土になっています。日本でよく見る択捉島の先に国境ラインがあるのではなく、知床岬の先、歯舞諸島、国後島の間に国境ラインがあります。色がはっきり日本と違うということでもお分かりいただけると思います。
(N先生から送られて来たヨーロッパ製作の世界地図の日本周辺をアップ撮影して見ました。N先生のご指摘どおりこの地図だと北方四島も南樺太も残念ながら全てロシア領のピンク色で塗られています)
ヨーロッパでは、北方領土はロシア領であるという認識が当然のようにされているということです。と考えれば日本政府がいくらロシアとの議題にあげようとしても、応じない現状が何となく理解できます。さらにロシアと日本の領土問題は、世界の他の国の関心が薄いということも分ります。国際世論が日本に味方しない理由も分るような
気がします。
追記すると、南樺太の半分についても、日本の地図は白く表示されていますが、ヨーロッパの地図ではロシア領になっています。
世界から見える日本の現状の一旦ですが、領土問題は実効支配が長引けば既成事実となるという国際社会の常識を見た気がします。今さら日本政府や国民の今までの対応や現在の情報発信に一国民として残念な思いがします。」
手紙の本文はここで結ばれていますが、N先生は私に先日送ってきた世界地図に触れ、「人間牧場の教材として、一人でも多くの日本人にこのことを知らせていただきたいとメールしました。私もこちらで機会を見て話題にしたいと考えています」と追伸しています。
私は早速N先生から送られて来た世界地図を広げて見ました。確かにこの地図では日本が主張している北方領土がロシアの一部としてピンクに色塗りされている樺太もピンク一色なのです。
私がアメリカで32年前見た世界地図の真ん中に日本がない世界地図や、双海町の青年が海外派遣先のオーストラリアで南北逆さまの世界地図を見た時の驚きが、N先生からの手紙で伝わってきました。
島国日本の中で鎖国されたように暮らしていると中々分らない出来事が、外の目で見るとよく分ります。私は早速この話をN先生の追伸通り人間牧場の教材として一人でも多くの人に伝えたいし、「北方領土が日本固有の領土である」と声を強くして訴えて行きたいと思っています。
それにしても嬉しかったのは、N先生が遠い異郷の地にありながら日本人として北方領土のことを真剣にとらえているということでした。忘れまじ祖国魂、忘れまじ日本人魂に大きな拍手を送ります。
「ウィーンから メール届いて 驚いた 所変れば 見方も変る」
「遅いねえ 戦後早くも 六十路越え 未だ解決 出来ぬ苛立ち」
「離れても 彼はやっぱり 日本人 地図見て感じ メールで伝える」
「鎖国人 多いわが町 町民に 目と耳開け 言えど応えず」