○政局やいかに(旅先の街で拾った話題)
佐賀県のとあるうどん屋に入り軽い昼食を取りました。昼時でしたが人もまばらで、「おっちゃん儲かりますか」と軽く投げかけると、関西弁で「あきまへんな」とこれまた軽く返事が返って来ました。おっちゃんのいうのには、「世の中景気が回復したとよくいわれているが、佐賀県まで景気回復が回ってくるのは俺が死んでからじゃあ」と冗談交じりででした。私が「おっちゃんそれまで生きてて下さいや」というと、「大丈夫あの世もうどん屋やっとるから」と軽くいなされました。
その話を聞いていたなじみの客が、「お兄さんうまいこといいいますな。何処から来たの」と訪ねるので、「はいこの顔は宇宙人ですから宇宙から」。「面白い」てな調子で笑い転げました。
そのうち私が出された冷し麺を食べ始めると店のご主人であるおっやんとなじみの客が何やらぼそぼそです。聞き耳を立てた訳でもありませんが、なじみの客は今度の参議院議員選挙に出馬する地元の人を応援しているらしく、封筒から後援会名簿を出しておっちゃんに書いてもらうよう頼んでいました。「おらとこはわしら夫婦と寝たきりのおばあちゃん、それに嫁に行ってない娘が二人いる」というのです。なじみの客は「それ全部書いといて下さい。もし電話が架かってきたら私の名前をいって下さい」といい、書き終わった名簿を持ってそそくさと出て行きました。
聞いた訳でもないのにこのおっちゃんは私に向かって、「こんな名簿を今頃書くようじゃあの候補者もお終いじゃな」というのです。
おっつけ別のなじみの客がまた入ってきました。「おっちゃん、あそこの電柱に立てかけていた○○党の党首の看板が昨晩の風で路上に飛んでいたが、その上を次から次と車が踏みつけて通っていた。あの政党は今度の選挙で地に落ちてしまうかも知れんな」と笑いながら話を切り出しました。「馬鹿たれが、それはひょっとしたら大当たりで当選するかも知れんと思わんかい」というのです。450円のうどんいっぱいでこれほどワサビの利いた話を聞いたのは久しぶりで、すがすがしい気持ちになりました。
お店を出た所でコンクリートの地面に何やら光るもの有り、よく見ると百円硬貨のようでした。お店の前の拾得物ですからドアを開けて「おじさん百円拾いました。お店のものなのでどうぞ」といったら、「お店を一歩出ると店のものではない」と断られました。それでも百円くらいポケットに入れるのも悪いと思いカウンターに「ここに置いときます」といったら、店のおばちゃんが追いかけてきて、「あんたは正直もですね。百円は貰いますから、あなたにゆで卵を一個差し上げます」といって否応なしに手渡され、卵をポケットに何やらほのぼの佐賀の街を歩きました。
佐賀はほのぼのいい街だ 人情厚いし うどんも上手い おまけに卵がポケットで マジックピヨピヨ孵るかも
佐賀はほのぼのいい街だ 風も爽やか ふわふわ気球 街中花が咲いている 青春総体必ず成功
佐賀はほのぼのいい街だ 笑顔おっちゃん ウイット富んで 客とやりとり肥前弁 今度来るとき誰を誘うか
「よくもまあ これだけあると 不祥事を お互いつつき 国民不在」
「昨日まで人のことかと 油断する 俺のことかも これはたまらん」
「あの人も 政治の道具に 借り出され 落ちればいずれ 見向きもされず」
「選挙さえ 終われば俺の 天下だと 腹の底では 政治家いつも」