○私立中学校が人気です
現在日本の中学校は義務教育ですから、殆どの子どもが地元の中学校に試験や選抜もなく通うことが半ば通例になっています。ところがつい最近ではそうした当たり前だと思われていたことに変化が起こり始めました。私立の中学校がその勢力を増しつつあるのです。田舎には私立の中学校が殆どないのでピンときませんが、都会では水面下で立派な中学校へ子どもを入れるための激しい親のバトルが繰り広げられているというのです。つまり私立の中学校へ進学するということは小学校6年生になると志望校への受験が待ち構えているのです。そのため子どもたちはうかうか遊ぶこともできず、もう小学校3年生になると塾通いが始まり、ゆっくりした子ども時代など夢のまた夢にになりつつあるようです。
私たちのように子育てを終わった年代はこんな話を聞いても他人事だと冷めた雰囲気で聞き流しますが、これから子育てをする人たちにとっては他人事ではなく気を揉むことでしょう。
こうした時代背景には文部科学省が出した「ゆとりの教育」を基軸とした学習指導要領によって学習時間が大幅に短縮され、その結果学力が世界の国々と比較して低くなったという調査結果が発表されたからだという説がありますが、その真偽は定かではありません。最近では中高一貫教育などを推進する各県の動きもあって、ベルトコンベアーに乗り遅れまいとする親の焦りも拍車をかけているようです。
冷静に考えれば子どもを伸び伸びと育てた方が良いし、最近の青少年を巡る世相からもゆとりは大切だと思うのですが、猫の目とか、風見鶏とか、はたまたあんま膏薬とか悪口を言われるように文部科学省のやることなすこと全てに、良い結果が出ない現状ではこうした混乱も仕方がないことと言わざるを得ない現状です。文部科学大臣が変わる度にこう方針がガラリと変わるようでは、たとえ教育基本法に「国を思う心」を盛り込んだところで国を思う心を持った子どもたちは育たないような気がするのです。
私たちが中学時代にもこれとよく似た現象が起こり、私たちの同級生のお金持ちや知識人の子どもの何人かは松山の中学校に進学しました。結果はどうであったか見てみると、地元の中学へ行った私たちと左程変わった人生を送っているとは思えず、同級会などに来ても恩師もなく親しい仲間もなく、むしろ肩身の狭い思いをしているように思えてならないのです。
子どもは親の理論だけでは生きて行けません。子育ては何処を出たかより、何をどうするのか常に子どもの目線で考えてやることが重要です。ましてや少子化で子どもたちは兄弟も地元の友人もいない寂しい思いをして生きていくのですから、せめて中学校くらいはふるさとととの深い関わりの中で育ててやりたいと思うのです。
「六年で 早くも進学 競馬馬 親は馬券で 大穴狙い」
「飛びきりの 学校出ても することは 親を立派な 特老預け」
「子を預け 年寄り預ける この社会 何か狂って いると気付かず」
「名門の 私立中学 出たという 社会じゃ俺が 一枚上だぞ」