○病気見舞い
病気になって入院するというのは何とも気が滅入るものです。特に家族にとって誰かが入院するとその世話などで慌しく過ごさなければならないので大変だと思います。滅多に入院しない健康な人が入院すると直りも早く、急いで見舞いに行かないと恥をかくことがあるのですが、二度三度と同じ病気で入退院を繰り返しているような人は、本人は勿論家族の心配も深刻です。そんな人は余り見舞いに来て欲しくない人もいて、「誰にも言わないように」と緘口令を敷いての入院は、見舞いの見計らいが中々難しく気を使います。
友人からAさんが入院しているという情報が入りました。同じ病気での度重なる入院だけに今回は2ヶ月の加療入院と診断されていて長引くため、みんなには内緒で入院しました。昨日は土曜日だったので午前中見舞いに出掛けました。病院は休みとあって日ごろは混んでる長い廊下も静まり返り、見舞いの人が無言で行き交うだけの寂しさでした。私もかつて入院したことのある馴染みの病院だけに勝手知ったる手合いで病室へ行きました。
Aさんはベットに横になってラジオを聴いていました。私は携帯電話で訪問を知らせていましたので、心待ちにしていたようで起き上がって話をしてくれました。何でも肝機能障害で検査の数値が考えられないくらい高いとかで、話の途中で尋ねてきたきた奥さんを交え病気談義に花を咲かせました。私より3歳も若くまだ現役ですが、3人の子どものことも目鼻がつきそうなので自分の進退を考えているとも聞きました。青年時代から青年団で鍛錬しまちづくりも共に励ましあってきた最も気が合う仲間の一人だけに、早く元気になって欲しいと願っています。
病気上がりの決して元気100㌫とはいい難い私ですが、最近になって同年代の仲間が体調を崩したり、先に逝ったりするものですから、気になって仕方がありません。今日の病院見舞いも正直自分の健康に置き換えて考え、少ししんみりしてしまいました。
「早く元気になって退院しろ」と彼を勇気付け病院を後にしました。
家に帰ってそのことを妻に話すと、その日は何故か妻が優しいのです。もっと長生きして欲しいとの魂胆でしょうが、「お前が毎日こんなに優しかったらええのに」と皮肉を言ったら、「私は毎日優しい」とやり返されました。
「病院へ友の見舞いに行く私次は逆さにならぬ限らず」
「足音で誰だかわかる長入院病は気からと勇気付けるが」
「寒さなど分からぬ病室常春で快適なのに恋しき我が家」
「やつれ顔少し痩せたと世辞言葉言って病室ドアノブそっと」