○取材シナリオを作る
地域資源学会の活動など、昔から何かとお世話になっている常磐大学の塚原先生から、茨城県桜川市の地域づくり教材として、映像テキストを作るので取材の協力をして欲しいと頼まれました。この話が持ち込まれたのはもう随分前のことでしたが、予算の都合で今年度になったと連絡がありました。せっかくなので取材に同行したいと日程調整をして6月19日ということでスケジュールを合わせていました。塚原先生は2度ばかりわが町に来られていますが、人間牧場へ案内するのは初めてとあって、私も先生も楽しみにしていました。
前日の夕方双海に入り、宿泊先が潮風ふれあいの館なので、煙会所で打ち合わせをしようとメールを送りました。ところが到着予定の4時間前に電話が入り、目に眼底出血があって手術した結果まだ出血が止まらないとかで、「材のカメラマンが一人だけで行くからよろしく」とのことでした。
先生からメールで事前に届いた「ふるさとに誇りをつくる”学び”による人づくる -夕日のミュージアムから人間牧場へー」のシナリオには1趣旨、2展開、3講義の方法、4日程の書かれたB4ペーパー一枚だけで、先生に殆ど任せていたので、少々戸惑ってしまいました。
運の悪いことに到着予定の前日金曜日はあいにくのどしゃ降りと夕方から濃い霧が立ち込め、カメラマンの到着が午後9時前という最悪の連絡でした。それでもカメラマンに詳しいシナリオが手渡されているだろうと安心して、カメラマンの到着を待ちましたが、「今着きました」と宿泊先から電話があって宿泊先へ打ち合わせに行ったものの、「取材シナリオは若松さんに全て任せると塚原先生から伝言がありましたのでよろしく」とのこと、はてさて困ったと思いつつ帰宅後、シナリオを急遽作る作業をしました。先生からいただいた趣旨と展開を参考に、場面ごとに14項目を設定しました。
0煙会所(まちづくりへの目覚め)、1煙会所(厳しい現実からの出発)、2下灘駅(夕日との出会い)、3煙会所(夢の語り場)、4役場(夕日を売り出す仕掛けー予讃線海岸回り存続運動ー)、5下灘駅(夕焼けプラットホームコンサートの成功)、6役場(まちづくり行政のスタート)、7役場(行政主導のまちづくりと夕日がテーマの物語づくり)、8シーサイド公園(通過する町から立ち止まる町へ)、9シーサイド公園(反対や赤字への危惧)、10花の町(夕焼けこやけラインと花の町)、11翠小学校(地域づくりの第二ステージ)、12人間牧場(自分づくりの第二ステージ)、13まとめ(自立と共生)と、まあこんなものかと頭で描きながらスケジュールを組みました。11の翠小学校の取材だけは勝手に出来ないので、早速事前に連絡していた校長先生の携帯に電話を入れ土曜日10時の約束を取り付け当日を待ったのです。
私はこれまでにもシナリオは何度も書き、そのシナリオで作品も手がけました。また数々の人の書いたシナリオも見たり、取材番組にも出ました。しかし今回ばかりはプロデューサー不在の取材シナリオを作った訳ですから責任重大です。塚原先生の落胆を目に浮かべながら果たしてこれでいいのだろうかと、自分自身も半信半疑でカメラマンと打ち合わせをして取材に望みました。
「プロデュース する人急に 来れなくて にわかシナリオ 作ってみたが」
「七時間 及ぶ取材を プロデュース どんな作品 仕上がるだろう」
「何にでも 挑戦するは いいのだが 浅学菲才 極めぬままに」
「霧降りて 五里霧中とは このことか 何とかしよう 何とかなるさ」