○親父と二人で大根の種を蒔きました
最近近所の人に出会うと、「雨が降らんので大根の種が蒔けんので困る」という言葉を耳にします。そういえばこのところお天気続きで、雨が少ないようです。屋外で行う夕焼けコンサートも好天に恵まれていいイベントとなったので、私としては満足しているのですが、一方では「大根の種が蒔けない」という人がいることも事実です。
かくいうわが家でも親父は、「そろそろ大根の種蒔きをしなければ」と思っているらしく、私の予定の空いた日に種を蒔きたいと再三再四ご機嫌をうかがいにやって来るのです。そんなこともあって昨日の午前中、倉庫から新品の耕耘機を取り出して畑を耕し、大根の種蒔き準備をしました。比較的広い畑なので、前もって種物会社へ行き、大根、カブ、聖護院大根、高菜、シュンギク、ホウレンソウなどの種を買っていました。わが家はたった3人の家族ですが、近所に畑を持たない親類が沢山いるため、そんなに植えてどうするの?と思われるほど沢山植えるのです。
私が耕耘機で耕した後を親父が丹念に整地し、植える種によって尺度を変えて畝を作り、私が袋を開けて種をお皿に移し、一粒一粒確かめるように蒔いて行くのです。9月1日で92歳になった親父は目が薄くなって、さすがに種を一粒ずつ蒔くことはできませんが、私が種を蒔いて土をかぶせた上に牛フンや化成肥料を撒いてくれるのです。この10年ほどは毎年このように親子で冬野菜の作付を行っているのです。
親父は几帳面な性格なので畝間も自分が造っている定規を利用して採寸し糸を張って畝を造るのです。私などはいい加減に早く終わらせたいと思うのですが、少し広いとか狭いとか、私のやることなすことにいちいち文句を言うのです。昔は口喧嘩のように丁々発止をしていましたが、最近は私が丸くなったのか、親父に従う術を覚えて適当にやっているのです。
この日は残暑が厳しく座ったり立ったり、また耕耘機を使うため思い切り汗をかきましたが、お陰さまでいい時期に種蒔きができたようです。私は種蒔きが終わると直ぐにジョロに水を汲んでたっぷり水をかけました。こうすることによって発芽を促すのです。
今晩外出先から帰ってみると親父は、畑の隅に引き込んだ井戸水使用のホースで畑に散水をしていました。台風10号が北上していますが、まだ当分は雨が期待できないとあっての配慮です。私などは植えれば目が出て育つと思って殆ど何にもしませんが、親父は草を削ったり水や肥料をやったりと、手入れに余念がないのです。
何年か前、発芽して二つ葉から3つ葉になったころ、大きな台風がやってきて全滅し、再度種を蒔いた苦い経験が頭をよぎりました。多分あんなことはないと思いますが、台風シーズンなので用心が肝心です。
私の芸名が「夕日亭大根心」なので大根には殊の外思い入れがあります。大好物の大根が今年も大豊作でありますよう、そして親父も私も去年よりは一つ歳を重ねましたので、健康に留意して美味しい大根の味を楽しみたいと思っています。
「雨降らず 大根の種 蒔けないと 天に向かって 不平ブツブツ」
「九十二 なった親父の 作る畝 一粒丁寧 種蒔き入れる」
「水をかけ これで発芽は 大丈夫 思うが親父 水の追い撒き」
「健康で 今年の冬も 大根を 食べて正月 迎えたいもの」