○いいこととできることは違う
「毎日早寝早起きがしたい」「毎日日記や家計簿をつけたい」「お酒やタバコを止めたい」「食事を制限して痩せたい」などと、人は簡単にできそうなことを思ったり口にしたりしますが、これが実践となると中々続かないものなのです。かくいう私も子どもの頃は日記が続かず、大人になってからお酒も止めれませんでした。多分それは自分の心の弱さだったのです。
あるときある人に出会いました。その人は「できもしない目標を立ててもそれは計画倒れになりかえって自分が惨めになる。できる目標を立てろ」というのです。その人の話を聞いて「自分は今まで理想ばかりを追っていた。確かに日記を毎日つけることはいいことだが、今の自分にはそれだけの持続能力が身についていない。自分の予定表に例え一文字、一行でもいいから文字を書き込むような行動をすればそれが習慣化して身につくようになる」「大好きなお酒も1カ月に1回でも1週間に1回でもいいから休肝日を作ればいい」と納得したのです。
早速ささやかな予定表日記と1週間に1回の休肝日を目標に、自分の部屋に「毎日日記を書く」「1週間に1度の休肝日」などと書いた紙を張って始めてみましたが、これくらいならどうってことないと思うようになり、何とか1年の目標をクリアーできたのです。
私は目標を達成すると自信がわき、無理は禁物という気持ちを越えてもう少し重めのノルマを自分に課すようになりました。「お酒を1週間に1回飲まない日をもう少し増やし、酒を飲まない日はお酒を飲んだつもりで1回千円のつもり貯金をしたらどうだろう。1か月に10日で1万円、12か月で12万円貯まるかも知れない」と思うと、そのあとに何か面白いことができそうな夢の世界が広がってきたのです。「そうだそのお金を原資にして人間牧場を造ろう」そう思いました。48歳ころから始めたこのお酒を飲んだつもり貯金は、結果的に胆のう摘出手術で酒を完全に断ったため、多少目的とかけ離れましたが、それでも58歳までの10年間に120万円の貯金を目標通り達成し、人間牧場の柱や屋根の一部になっているのですから、人間は成せばなるものです。
自分にできそうな目標を立て、それも日々の暮らしの中で実践化しながら習慣化する、そうすれば自分の人生が確実に進化する。簡単なようで難そうですが、やってみると案外難しそうで簡単なものなのです。
1日1行の予定表日記はもう30年も続けているし、その習慣がいつしかパソコンを利用したブログ「shin-1さんの日記」に進化して、もう4年になるのですから驚きです。また1日3枚のはがきを書くことも24年間続いている私のささやかな実践だし、今はもう止めていますが、毎日朝5時から3時間シーサイド公園の掃除をした実践も12年間続いて私の大きなパワーとなったのです。
お酒も日記もハガキも気がつけば習慣化しましたが、でも「いいこととできることは違う」といつも思うのです。人間は欲の塊のようなもので、少しできるともっとできる、もっとできると更にできるとついついオーバーワークになりがちです。そこから習慣が破たんすることもあるのですから用心しなければなりません。
私は昭和19年生まれの64歳です。自分ではまだまだ若いと思っていますが、確実に体力や気力は衰える方向に進んでいます。今まで頑張れたことも頑張れないし、パワーもなくなったと実感しています。同年齢の仲間たちが病の床に伏したり、あの世へ旅立つようになってきました。もう限界だと思うこともありますが、それでも健康に留意して暮らせば何とかなると思って日々を生きています。リタイアして自由人になったおかげで少しゆとりが出て、義理や人目を気にせず生きて行けるようになったのもある意味救いです。
今日からお盆です。今朝妻と二人で玄関先で先祖を迎える迎え火を焚きました。10年前に亡くなった母が祖母を連れてわが家に里帰りしてきました。仏壇に手を合わせ母や祖母に今の私の状況を報告しましたが、位牌の戒名が立ち上る線香の煙の向こうで何処となくほほ笑んだようにも見えました。
「したいけど できぬ言い訳 するだけじゃ 進化もせずに 退化するのみ」
「歳重ね 気力体力 下がり気味 その分持続の 力でカバー」
「朝起きて 迎え火妻と 焚きながら 両手合わせて 先祖迎える」
「梅雨明けの ような爽やか 朝迎え 今日からお盆 風は立秋」