○人は人によりて人となる
周りに見える山々の色が日増しに燃えるような若草色に替わり、春まっ盛りを実感するようになってきました。わが家の前にそびえる本尊山はまさに借景と呼ぶにふさわしく、山桜などの雑木遠望が見事で、下手糞だったウグイスも随分練習を積んで「ホーホケキョ」を連発、「ケキョケキョケキョ」と谷渡まで挑戦しているのです。
それと同じように人間牧場からの眺望も見事で、野村町山奥組の井上登さん方から興し入れしてきたミツバチたちも活発にそこら辺を飛び回り、蜜を運んでいるようです。分封の兆しなのでしょうか空家状態のもう一つの巣箱に、よく見ると何やら虫が飛びこんだような感じもして、じっと観察したりしてみましたが、ミツバチなのかどうかは確認ができませんでした。
昨日は国立大洲青少年交流の家の新任職員さんが10人余りやって来て、人間牧場で新任職員研修会を開きました。お約束の時間はマイクロバスが道に迷い多少遅れましたが、新山所長や國府次長以下新しい顔ぶれの人が集まって私の話を聞いていただきました。
私に依頼された講話の演題は「地域における青少年教育の在り方について」でしたが、それなりの知識を習得されている青少年教育のスペシャリストばかりなので、思いつくままに1時間余りお喋りをさせてもらい、その後は皆さんと和気あいあいの座談の会となりました。驚いたことに私の話を10年も前に聞いたという女性もいて、木になるカバンのことを覚えていたようで、はてさて私の話の進化具合はいかがだったのか、少々赤面してしまいました。
全国各地から青少年たちが集まる施設の職員の心構えの第一は、はやはり心に希望と夢を持つことが大切です。夢や希望、それにやる気を持っていれば、相手を感化感動させることができるのです。今の時代は不況感や悩みが多く混沌としていますが、だからこそ青少年に勇気を与えて自覚を促さなければならないのです。
結局は自分が「どう生きるか」ということに尽きるのです。これまではどちらかというと、施設職員として必要なテクニックを磨いてこられたようですが、これからは「自分らしく生きる」ことが求められるのです。施設職員として手つなぎの連帯も必要ですが、それぞれが自立した集団、つまり「手放しの連帯」こそ重要と考えます。その点人間牧場でやっている年輪塾やかつて10年間で40回のフロンティア塾を開催したような「自分づくり」は参考になるのかも知れません。
昨日は全国各地が晴れ渡り、25度の夏日を超えた所もあるほどの陽気でした。研修が終わり交流会が始まる頃には西の空がサーモンピンクに染まり、その色が海に映えて素晴らしいシチュエーションを見せていました。用意していただいたお弁当を広げて舌づつみを打ちながら交流を深めました。久しぶりに水平線の家に灯りをともし、短い時間ながら夜の部を終えて帰る頃には陽もとっぷり暮れていました。
都合で先に帰られた國府次長以下女性3人には、不思議で可愛い窪田赤トンボ先生が作ってくれた荷物にならない赤トンボを手土産に渡しましたが、いい思い出になったでしょうか。
これまで30年以上にわたって長くかかわってきた国立青少年交流の家の真摯な職員の姿に感動しながら、一人山を降りました。新山所長以下皆さんの今後の活躍に期待しています。
「どう生きる? いきなり言われ 戸惑いも それが大事と 熱弁ふるう」
「鏡です あなたの写る 姿見て 人を感動 させればいいな」
「人により 人は人なる 故に人 大事とばかり 人に力説」
「いつの間に サーモンピンク 染まる空 心も染めて 欲しいと願い」