○眠れない夜
昨晩は孫たちが3日間も逗留してその対応に疲れていたため、夫婦が早めに床に着きました。早めといっても妻は台所の片付けや洗濯物もあるので10時半を回っていましたが、私は10時に床に入って寝ながらテレビを見ていたのです。やがて妻が電気を消し夢の世界へ入りましたが、あることが気になって2時頃に目が覚め、疲れているはずなのにどうしても眠れないのです。
あることとは友人の病気のことです。昨夕知人がやって来て外の夕観所の椅子に座り色々な四方山話をしました。その知人の従兄弟に当る人は私の友人というより、私より三歳年上の先輩なのです。私は若い頃青年団に入団していましたが、その方も青年団で団長を勤め、一歩先行く人として私をリードしてくれました。その後も仕事柄酒を飲んだり交流したりしていましたが、最近健康が優れないというのです。先日会った時にも小柄な体が少し太り気味になったいたので尋ねると、リュウマチの治療で飲んでる薬の副作用だと聞いたのです。妻もよく知っている人なので妻ともその話しを台所で食事をしながら話し案じておりました。
従兄弟の知人の話によると最近体調が思わしくなく、抗がん剤を打ったというのです。リウマチの治療とばかり思っていたのに抗がん剤とは驚きです。その友人はもともと酒は弱いのですがタバコはめっぽう好きで、私が「陸蒸気」とあだ名をつけたほどヘビースモーカーでした。そんなにタバコを飲んだら今に肺がんになるぞ」と注意しても「タバコを止めるくらいなら死んだ方がましだ」とか、「タバコを吸って死ねるなら本望」と強がっていました。しかし最近「タバコを止めたい」と何度か思い挑戦しているようでした。禁煙パイプを口にくわえ、いらだたしそうにしている姿を見て、「命が惜しくなったの?」と茶化してみたりしました。でも長続きせず、最後の言葉は「タバコを止めれないなんて可笑しい。私はもう7回も止めた」とまるで落語や漫才のネタのような話しを笑ってしていました。
彼は今農業をやっています。長い間勤めに出て家を留守にしたため、農業はもっぱら奥さんがやっていました。その奥さんも少し健康が優れなくて最近は奥さんに代わって農業をしていて「俺は最強の熟年農業後継者だ」と、すっかり日焼けして逞しくなった腕をまくって酒席で胸を張って豪語していました。その彼が抗がん剤とはと思うと、人毎ながら顔がちらついて眠れなかったのです。
今朝は午前3時という早めに起きました。そして彼宛にハガキを一枚したためました。病気のことなど書けないので、近況の報告をしてさりげなく近々会おうと書きました。元々人とのコミュニケーションは苦手な方でしたが、私には家族のこと、人生のこと、これからのことなど、何でも話してくれたので、気分を一新すべく会いたいとおもっているのです。
身近な人が病気になったり、私より若い人が死んだりと、加齢とともに親父が毎日愚痴る気持ちが少しずつわが身に降りかかってくるようになり、どこか気持ちが湿りがちになるのですが、人を思いやる気持ちだけは大事にしたいものの、自分自身は健康に生きるために、常に明るく前向きに生きてゆきたいと思っています。
知人の健康回復を心より祈っています。
「抗がんと 聞いてはてさて 困ったな ハガキしたため 一度会おうと」
「無理をして 農業するな 愚か者 いってやりたい だけどいえぬな」
「人のこと 言えぬわが身で ありながら 人を気遣い 眠れぬ夜を」
「これからだ 楽しいはずの 人生を 楽しく生きろ われも生きるぞ」