○5本川の字になって寝る
川の字は縦線3本で「川と読みますが、昨晩は泊まりにやってきた娘の家族と一つの部屋で川の字ならぬ「11111」の字になって寝ました。一番最初に寝るのは生後8ヶ月になる孫尚樹です。8時には風呂に入れて床につきスヤスヤと寝入っています。続いて私と一緒に風呂に入った5歳の孫朋樹が8時30分ころ床につきます。娘が来ない場合は私と床に入って私のお話を聞かせるのですが、昨日は娘がお母さん役で本を読み聞かせていましたが、昼間の疲れなのかアッという間に夢の世界です。
その後娘と妻と私でみかんを食べながらテレビを視聴し、10時30分に孫を挟んで二人が眠ったようでした。その後私は書斎で締め切りが近づいている原稿を書いていましたが、12時になったのでそろそろ寝ようとパソコンのスイッチを切り、ストーブの火を落として居間に行きましたが、どういう訳か妻は私の布団を敷き忘れているようなのです。寝入っている妻に声をかけるものの、寒くて面倒くさかったのか、「お父さん今日はみんなで寝よう」と自分の横に来て寝るよう勧めるのです。仕方がないので一番隅の妻の横に潜り込みました。妻の体温で布団の中は暖かく、私の冷えた手と足が入ると妻はクルリ背を向けて孫の方を向いて寝てしまいました。やがてそのうち私も夢の世界に突入しましたが、娘は5歳の孫朋樹を12時にトイレへ連れて行き、途中尚樹にお乳をあてがう程度で大した混乱もなく朝を迎えました。私は朝4時の起床なのですがこの日は孫と一緒に寝るよう妻から言われ、5時頃まで布団の中にいました。生後8ヶ月の尚樹は既に目を覚ましていて、指を吸いながら一人遊んでいました。娘は尚樹のオムツを替えてまたスヤスヤなので、妻と私の間に孫を入れて遊んでやりました。孫は豆電球の光ながら笑顔で私と対話です。対話といってもまだ言葉は喋れませんが、それでも「アー」とか「ウー」とか何となく分るような言葉を発して私の顔を触ったりしながら30分くらい遊びました。娘がお乳を与える間に床から抜け出しましたが、まるで雑魚寝ながら、昨晩は楽しい一夜を過ごしたのです。
そういえば子どもが小さい頃は5本川ならぬ6本川の字になって同じ部屋で毎日寝たものでした。夏になると子どもたちは部屋の中を寝たまま自由に動いて、子どもを捜すのに迷ってしまうようなことがしょっちゅうでした。冬になるとはみ出す子どもを布団の中に入れるのに一苦労もしました。また子どもにオネショを掛けられ風呂場まで走った経験も何度かありました。でも振り返れば貧しくて決して豊ではなかったけれどあの頃が一番幸せだったなあと思うのです。親父がいつも「子どもが小さい頃が家庭は一番幸せだ」と言っていた意味が分るような気がするのです。孫の乳臭い匂いも、オムツから出る匂いも全て懐かしさの象徴だと思いました。
いつの間にか四人もいたわが子はそれぞれ大きくなって、古巣から旅立ってよきました。気がつけば親鳥二人に年老いた老い鳥が一人、肩を寄せ合うように古巣で生きています。たまに来る孫鳥たちもやがて大きくなってわが家と同じように巣立って行くのでしょうが、少し寂しく少し切ない家族の運命を感じました。
ふと、娘婿が一緒に来ない日はこれから、孫が来る度にこんな寝方もおつなものだと妻に話しましたが、「私は眠れないので反対」とあっさり否決されてしまいました。そういえばオムツを取りに行ったりり布団を敷いたりと、週末に孫が来ることによる妻の仕事量増加は、目には見えないけれどおびただしいものがあるようです。
「孫が来る 孫が帰るの 大騒ぎ 嬉し半分 寂し半分」
「川の字に なった布団に 潜り込む 孫の匂いは どこか懐かし」
「また一人 また一人去り 気がつけば わが家は古い 三人残る」
「オシッコに 起す夜中の 大騒動 孫は寝ぼけて そこらウロチョロ」