○塞いでしまったわが家の池
親父の自慢だった池の鯉が原因不明の死を遂げてから早1ヵ月近くが経ちました。わが子のように可愛がっていただけに、落胆も相当なものでついには残りの鯉も親しい人に譲り、これまた自慢の自動浄化施設も取り壊されて一緒に引き取ってもらいました。鯉のいない池は水を干してまるで親父の心そのままにポッカリと空いて空しい姿をさらけていました。親父の計画では近所の土木業者に頼んで埋め立ててもらう予定のようでしたが、土木業者が工事について打ち合わせに来たところ、池はこのまま埋めることが出来ず、一度池を壊して底を割らないといけないというので、急遽池の上に鉄筋でアングルを組みコンクリートを打設し貯水タンクのようにして浸かったらどうかという話になりました。私も大賛成で池として使わずとも倉庫として活用することも可能なので、話はとんとん拍子に進み、先週工事が行われました。私は出張が多く留守中の出来事なので関わることが出来ませんでしたが、一昨日マク板などが全て取り外され、綺麗なタンクがお目見えしました。
高さは1メートル50センチ余りなので、中は中腰でないと入れないのですが、広さは畳4畳分くらいあって奥行きが広く倉庫にしてつかったらどうだろうかと考えています。親父はこの地下室を倉庫にすることは余り乗り気ではありません。倉庫が余りあるとかえって物が増え過ぎて片付かないし、かえって自分の仕事が増えるだけだというのです。確かに一利ある言い分ですが、田舎の家の中には田舎が故に持ち合わせなければならない品物がいっぱいあるのです。例えば正月のお餅を作るというだけで餅つき道具一式とか、味噌や梅干しを自家製で作ればその保存場所だってかなりのスペースを取られるのです。私はこの部屋を思い切って自家製食物倉庫にしてはどうかと提案しています。味噌や梅干し、梅酒などの貯蔵はかなりの長い時間を要しますので、温度の一定している地下室は最適だと思うのです。近々に温度を測りその使い具合を調べてみようと思っています。
親父は数日前から台風が来る事を予想して入口の蓋を作り始めているようです。木製の枠を作り板を張り、その上にトタン板を張って作る算段のようですが、入口の終いが出来ていないので近所の左官産にお願いしてブロックを積んでもらったようです。上塗りをしてもらえば出来上がるのでしょうが、とりあえず今度の雨はしのげそうだと一人満足して作っているようです。
90歳になり老いてもなおこんな算段を出来る親父は偉いと思います。私など口ばかしで親父のような企画力や行動力や決断力は真似の出来るものではありません。親父の年金の蓄えもこうして私たち後に続く家族のためにせっせと再投資が行われており、これも感謝をしなければなりません。何かと物入りながら年金生活では投資もままならないわが家ですが、親父の存在は目に見えない部分で家族貢献をしています。感謝・感謝です。
「池の上 知らぬ間に ふさがれて 立派な地下室 完成間近」
「九十の 歳を感じぬ 親父殿 今日もせっせと アリ這うように」
「親雀 小雀住みか 修復し 孫の雀が 怪我せぬように」
「昨日まで 鯉が泳ぎし 池辺り 今日は地下室 生まれ変わりて」
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俳句 メッセージ
すごくいいですね!
感動があります