○見た目と中身
「人間は見た目でものの値打ちを7割以上判断する」という話があります。全ての人ではないのですがこれも7割以上の人間に共通していることだそうです。なるほど女性も男性も相手によく見てもらおうと化粧をしたり着飾ったりするのはその証拠かもしれません。顔の美しい人はそれなりに、普通の人はそれ以上に外見にお金をかけるものですから、洋服や化粧品が売れ社経済が上手く回っているのです。でも本当はそんな見せ掛けよりも見えない部分こそ大事なのだと言っては見ても、見えないものを推し量る度量を持った人が全体の3割以下では7割へのアプローチの方が断然有利であることは子どもでも分る理論です。
今朝わが家にえひめ地域政策研究センターの清水研究員がやって来ました。朝食を食べながら妻を交えて色々な話に花が咲きました。彼は朝フル(朝食にフルーツを食べて健康になる)の実践者で朝フルーツを食べる生活習慣の変化で減量に成功しています。ですから私のリンキャベ(朝食はリンゴとキャベツ)についても関心があって、理論武装などしていない私に薀蓄のある話を随分アドバイスしてくれました。
彼は今朝手土産に外国系ながら自分の家で作っているナベリーナという珍しいオレンジを4個持って来ました。色こそ熟していましたが、ヤノネカイガラ虫が沢山ついて、所々にはカイヨウ病までついています。ましてやヘタは取れていますから、まあみかん王国愛媛だとこの手のオレンジなら外品で畑の隅にでも落ちていそうな果物なのです。「奥さん済みませんがこのオレンジを輪切りにしてくれませんか」と言うものですから、言われるがまま妻は輪切りにして皮を取り除き食卓に並べたのです。私も見た目に綺麗でないオレンジという7割の先入観があるものですからそんなに期待はしていませんでした。ところが木って皮を剥いたオレンジはとても美味しいのです。見た目から中身の味で判断した瞬間でした。妻も私も美味しいと体感したのです。
オレンジはこのように外見を見た目以外に食べる事によって中身を確かめることが出来るのですが、人間の心は推し量り難たいものですから時々騙されたりすることもあるのです。
農産物を売る場合消費者には大きく分けて4つの分かれるそうです。農産物の価値が分って金を払って買うAタイプが2種類、農産物の価値が分らず金を払わないBタイプが2種類です。Aタイプには農業の価値が分る消費者層と健康志向型消費者層があります。一方Bタイプには意識と行動が分離した分裂型消費者層とどうしようもない消費者層があるのです。
その割合を調査した数字は次の通りです。
・農産物の価値が分って金を払うAタイプ 21.9パーセント
農業の価値が分る消費者層 ? 5.4パーセント
健康志向型消費者層 16.5パーセント
・農産物の価値が分らず金を払わないBタイプ 75.4パーセント
意識と行動が分離した分裂型消費者層?? 52.4パーセント
どうしようもない消費者層 ?? 23.0パーセント
私は現在、生協の学識理事をやっていますが、毎月の理事会で議論する理事さんの殆どは賢くて農業の価値が分る消費者層だし健康志向型消費者層のAタイプのようだと思います。安心や安全が第一で、無駄なお金は使わないが価値あるものにはお金を出すのです。
この数字の中で気になるのは農産物の価値が分らず金を払わないBタイプで、75パーセント強の人が安ければいいと思って中国産に飛びつき行動するということです。困ったことはこの人たちは何かが起こると風評をでっち上げ、周り全てが悪いかのように風評被害を拡大させて行くことです。
農産物の価値も分らず金を払わない人にどうやって農業や農産物の良さを伝えるのかは大切なことかも知れませんが、かなり難しいことだと思います。これまで農業団体や農業者は正直言って誰という消費者層を相手として意識せずに対応してきた感じがあります。これからはその事も考えないと効果は上がらないのです。
このところグリーンツーリズム運動の高まりによって都市と農村の交流が盛んに行われるようになってきました。でも思ったほどの効果が出ないのは何を(ウォット)、いつ(ウェン)、どこで(ウェアー)、誰に(フー)という4Wをしっかりらえないと、長続きはしないし成果も上がらないのです。
見た目だけでなく中身の大切さを感じた朝フルミーティングでした。
「いいだろと 強調しては みたものの 中身分らず 結局売れずに」
「まず見た目 それから中身 七割も 考えますね 農産開発」
「農薬で 見た目いいもの 作ったが 人も自分も 身体壊れた」
「農家さえ 食わないものを 何故に売る 金になるから それはないだろ」