shin-1さんの日記

 ○ああA市の将来は

 世の中には色々な悩みがあるもので、一昨日訪ねたA市で異様な光景を見ました。私が講演なので訪ねる殆どのまちは田舎で、過疎だ高齢化だ、産業不振だと尻つぼみを嘆く場合が多いのですが、人口が過密な大都市大阪に直ぐ近い街で、しかも阪神電車の駅とリンクする好位置にありながら人の来ないシャッターの閉まった商業施設があるのです。この施設には昨年までご存知ダイエーが入っていました。再生機構による再建を目指すため効率の悪い店舗として閉店に追い込まれたのです。商業施設から大型店が撤退した後に残された地元のテナントさんは莫大な投資をして出展しているものですから去るに去られず、少なくなったお客を相手に細々と営業しているのですが、元気を出せといっても元気が出るわけがなく、このままでは時間の問題とお見受けしました。 この施設にもう一度元気を取り戻そうと心ある人たちが一生懸命取り組んでいるのですがこれも焼け石に水って所でした。

 私たちの町の成功例に学ぼうと今回の講演会が開かれましたが、私の町のような無から有を生み出した何もない町からの出発もそれなりの苦労がありましたが、立派な施設があって市民から見放された施設に人を呼び戻す手法はこれまた大変な苦労だとスタッフの方々に話し、私の話を聞きに来てくれた約100人の方々に全国の事例を示しながら熱っぽく語ったつもりですがこれも焼石に水って感じでした。 問題の裏には行政の認識の甘さがあるようです。丁度運良く若い市会議員さんが2名来られていましたが、このさんさんたる光景に行政はまったく無関心なように映りました。勿論それなりに知らない部分で頭を痛めているのでしょうが、ダイエー撤退という事実と残った店舗の生き残りは撤退決定の時点で分っているはずです。だのに未だにその方策すら見出せないのは、議会も行政も少し怠慢なような気がします。もっと大きい問題はこの施設の再生を夢見てわざわざ尼崎外からスタッフとしてイベントに参加している人もいるのに、市民は参画も協働もしないという無関心ぶりです。行政は二言目には金がない、暇がない、これは民間でといいますが、民間の力ではもう再生できないアリ地獄の入り口まできているという危機感を持たないと、A市の行政力や市民力を疑われても仕方がないと思うのです。女性やスタッフの元気が何よりも救いでした。

 二人の議員さんは新人らしく熱心に耳を傾けメモを取っていましたし、反省会の席でも盛んに若者たちの輪の中に入って模索を続けていました。多分年功と数の理論の中でこの若い議員さんの意見は通らないだろうと推察しながら、私は夜行バスに乗ってスタッフからいただいたほのぼの活気と暗い矛盾を併せ持ちながら帰って来ました。

 希望の持ちにくい人たちへのアドバイスは正直気が重く、心が晴れぬままの帰郷と相成りましたが、私の話をある会場で聞き、私の街にも来て下さいと呼んでくれた

  「行った街矛盾ばかりが目に付いて暗い夜道を電車に揺られて」

  「無を有に変える自信はあるけれど有を無にするこれも難し」

  「金がないこれさえ言えばいいのかと言ってやりたい行政さんよ」

  「中学生授業終わると来るというシャッター通りは子どもにゃ天国」

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