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○こいつぁー春から縁起がいいわい

 何年か前、あるタウン情報の取材があり、「あなたは宝くじで一億円当ったら何に使いますか?」という質問に、「買わないので当らない」と答えてしまいました。そうです。私はこれまで「宝くじ」というものは生まれてから一度も買った経験がないのです。「ほうー、珍しい人がいるものよ」と世の宝くじファンに笑われそうですが、正真正銘買ったことがなにのです。

 ところが世の中はよくしたもので、私の妻は宝くじを良く買うのです。自称セレブでもなく貧乏人の部類なので、宝くじを買うといってもたかだか連番10枚を3組ほど買うだけの投資なのですが、私流に計算すると一枚300円の宝くじを30枚買うと9千円になります。サマージャンボと年末と年2回買うと1万8千円の、仮に10年だと18万円になるのです。

 宝くじを買う妻の言い分は、「たったこれくらいの投資で、年2回も一億円以上の夢を見れるのだから、こんな幸せなことはない」と胸を張ります。そして極めつけのセリフは「買わない宝くじは当たらない」と豪語するのです。

 今年も昨日年末ジャンボ宝くじの抽選会があり、テレビで発表されていましたが、わが家では元旦の新聞の来るのを待って、妻と息子の二人が買い求めた宝くじを机の前に広げ、熱心に番号を付け合せていました。

 「やったー、当った」と息子が言うものですから、居間にいた家族は一瞬息子の顔に集中しました。息子の宝くじは、郵便局に定期貯金をした記念品に貰った40枚の連番宝くじです。残念ながら一億でもなく一千万でも百万でも十万でもなく、3千円でしたがこれが4本、300円が4本、つまり40枚で8枚も当り、〆て13,200円の当りとなりました。息子の嫁は子どものおむつ代の足しになると喜んでいましたが、まあこれくらいの当りと、これくらいの金額で庶民レベルには丁度良いと思いました。問題はここからです。小さな儲けは大きな損失につながります。小さな当りに気をよくして、次の大当たりを目指すためにやたらと投資すれば、今回当った13,200円は何の役にもたたない事を肝に銘じておくべきでしょう。

(ささやかながら、3千年と300円がそれぞれ4枚ずつ当った宝くじ)

 人間にとって「夢」を見たり「夢」を持つことはとても大事です。そのことが生きがいにつながればこれ以上のことはありません。しかし宝くじを買うという行為は自分で選べても、宝くじに当るという結果はあくまでも他力本願なのです。私がよく使う「夢はドリームではなくターゲットである」という言葉は、宝くじを買って当るのを待つための意味ではなく、勝ち得る自分の努力をいっているのです。私が宝くじを買わない理由を、妻や長男に幾らいっても、「これくらいいいじゃない。私のささやかな夢だもの」と取り合いません。人それぞれ、人生いろいろですね。

 「当ったと 大声上げる 長男に 向う視線の 何と早きか」

  「三千円 当らないより まだましと 納得しつつ も一度確かめ」

  「宝くじ 買ったと思い 貯える それでも十年 少しは貯まる」

  「夢だけで 生きては行けぬ ソロバンも 二つ噛み合う 俺の人生」


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