○人間牧場に薪小屋(その1・着工)
わが家の敷地内には海の資料館「海舟館」というのがあって、親父が漁師をリタイアした後造った、和船の模型が所狭しと飾られています。そんな何かと手先の器用な親父の息子なのに、子種が違うのではないかと思うほど私は不器用なのです。マサカリで薪を作ればマサカリの柄を折るし、鍬を使えば鍬の柄を折るなどして、「お前は不器用な上に道具類まで壊してしまう。ましてや使った道具の始末が悪い」などと、子どものころから親父に散々叱られて育ちました。ゆえに「私は生まれながらの不器用な男」を自認して、日曜大工仕事の殆んどを親父がやるため、私は益々コンプレックスが酷くなり、不器用なままで人生を終りそうなのです。
そんな私でも、親父が歳をとって小回りが利かなくなったのをいいことに、少しずつ日曜大工の真似事を始めているのですが、残念ながらおいそれと上達するものではなく、造った物も一笑に付されるようなものばかりのようです。
先週は共栄木材の会長さんに貰った杉板で初めてミツバチの巣箱を造りました。ところがこの杉板が分厚く乾燥の過程で反り返っていて、ネジ釘で造って行くのですが、所々に隙間のある欠陥商品に仕上がってしまいました。「これは私が造ったミツバチの巣箱」と胸を張って人に見せれる代物ではないので、まだ倉庫の影に終って使わないでいるのです。木は癖組みと親父から聞かされていて、反り返った木を上手に使うのも器用の証なのです。
そんな私がこともあろうか、立派な施設群?の並ぶ人間牧場に「薪小屋」を造る計画を思い立ちました。先週の土曜日人間牧場で開いた子ども体験塾で、子どもたちに薪割り体験をさせるメニューを入れていたため、出来上がった薪が牧場広場に置かれたままになっているのです。薪もインテリアの一部だと思って、宮栄館長さんから貰ったクヌギの木で作った大量の薪も、風雨に晒されすっかりみすぼらしくなって、かえって美観を損ねていて、何とかしなければならないと人間牧場へ行く度に思っていました。
一口に「薪小屋」といってもピンからキリまであるのでしょうが、私が造ろうとしている薪小屋は、昨年石垣工事ですっかり綺麗になった作業小屋裏手の石垣の上を利用したいと思いついたのです。
不器用な私は「薪小屋」の製作に当ってコピー用紙の裏に簡単な見取り図のような完成予想図を書き、体験塾が終って人間牧場を後に下山する時、メジャーで寸法を測り、必要な材木の量を計算しました。同居しているわが息子は設計の仕事をしていて、相談すると「止めた方がいい」と言われるのは分かっているので、隠密裏に進めなくてはならないのです。
今週初め松山へ出張した折、軽四トラックに乗って行き、帰りに西村ジョイというホームセンターで材木、ネジ釘、エスロン波型屋根材などの材料を1万円も仕込んで帰り、その足で人間牧場まで運んでおきました。
「親父の子? 疑うほどに 不器用を 自認の私 一念発起」
「薪小屋を 造る計画 こそこそと 自分ひとりで 絵に描き準備」
「一万円 投資はしたが 出来上がり 笑われるかも 疑心暗鬼に」
「採寸を した絵を基に 薪小屋の 材料運び 夢が膨らむ」