○名残の炭も使い果たしてしまいそう
このところわが家の炭事情が怪しくなっていました。というのもわが家の敷地内に設置している私設公民館煙会所が、人間牧場の開所とともに余り使わなかったため、煙会所の囲炉裏に使う炭が余り必要でなかったのです。ところが最近になって相次いで煙会所に知人友人が訪れ、大量に炭を使ったため、急遽人間牧場用としてストックしていた炭まで使うありさまで、やばいと思い始めました。普通囲炉裏は暖をとるために火を入れるのですが、煙会所は暖をとらなくてもいい春から秋にかけてでも炭を入れなければならないために、頭を悩ませているのです。煙会所が華やかに使われていた頃は、年間10俵もの炭を使っていました。ゆえに近所で炭焼きをしているおじさんに無理を言って分けてもらっていたのですが、そのおじさんも天国へ召されたため、炭のご縁がぷっつり切れてしまったのです。
人間牧場にストックしている炭は、国立大洲青少年交流の家の課長だった田中さんが校長になって転出する際置き土産としてくれたものと、大洲市田処の大杉塾亀本さんが年輪塾の際届けてくれたものなのです。大切に使わなければ罰が当たると思いつつ横流しして煙会所で使ってしまいました。
文明が炭から油やガスに代わっても、時代遅れな生き方をしているのでしょうか、私の暮らしにとって炭は今も貴重なエネルギー源なのです。最近はアウトドアーな生き方が見直され炭もホームセンターなどへ行けば火付きのよい外国産の炭がバーベキュー用として安く手に入るようですが、やはり炭も地産地消というべきか、クヌギの炭などは火持ちもよく最高に贅沢なものなのです。
私たちが子どもの頃は、暖を取るのは火鉢に炭と決まっていました。ゆえに寒さに震えた手足はアカギレで膨れていました。いつの頃からか火鉢は石油ストーブに代わり、今ではそのストーブもスイッチを押すと温風が出てくるようなストーブに改良されて、寒さを知らない暮らしができるようになったのです。今朝も少し寒かったため居間のストーブをつけ、今夕もストーブの手助けを得ることでしょう。
つい最近炭の効能効果が見直されてきました。その秘密は炭の構造にあります。炭には肉眼では見えない小さな穴が無数に開いていて、その細孔は炭1キロ当たりテニスコート1面分にも相当するというから驚きです。この細孔が臭いの成分や水分、有害な化学物質などを吸着したり、有用な微生物の住み家になったりすることで様々な効果をもたらすのです。
炭には白炭といって炭や木の仕上げの段階で窯の中に空気を送って一気に千度以上にした後、火を取り出して灰や土をかけて急速に冷却したもの(備長炭など)と、黒炭といって四百度~八百度で焼いたものをそのまま室内密閉して冷却したものに分かれますが、最近は竹炭も仲間に加わりました。
わが家ではご飯を炊くとき備長炭か竹炭を入れます。これは水道水の塩素を炭が吸って炭内のミネラルが溶け出し、米のうま味を出させるのです。
縄文時代から日本人は科学で解明できる科学を知らぬのに炭の効能をしっかり暮らしに生かしていたのです。われわれの先祖は凄いですね。
「仲間から 貰った炭も 底をつき 炭なき囲炉裏 寂しかりけり」
「赤々と 燃える囲炉裏に 顔を染め 夜通し話す 今は懐かし」
「炭と聞きゃ バーベキューだと 今人は 私火鉢だ 時代遅れか」
「炭パワー 活かして暮らす わが家庭 ご飯水など 炭で成り立つ」