○お金あれこれ
日本銀行松山支店内に愛媛県金融広報委員会があります。私はそこの金融広報委員ををもう30年もやっているものですから、お金とは無縁な貧乏人でありながら長年日本銀行松山支店へ出入りを許されています。普通だとボディチェックもあるような銀行の銀行ですから、私のような得体の知れない人間は入れてもらえないのでしょうが、そこは30年余りの長い付き合いとあって、守衛さんも顔を覚えていて気軽に声を掛け、担当者との面談を許されるのです。そんな関係で詳しい金融のことは分らないのですがお金については若い頃から随分勉強することができ、生活設計や金銭教育の推進援助者として自分自身の生き方を考える上で大いに役立ってきました。
例えば私の家にはありとあらゆる場所にそれぞれの思いで持っている貯金箱がやたらとあるのです。私の部屋だけでも三つもあって、それぞれの目的に合わせ使いこなしています。1つ目は小銭用で郵便局長さんにいただいたポストの形をしています。つり銭があれば殆どをこの中に入れるのですが、退職した時空にして始めましたが、もう殆ど一杯になっておりそろそろ郵便局長さんの所へ持って行き、お礼を言って数えてもらい普通預金にしたいと思っています。前に空けた感触だと3万円くらいは貯まっているのではないかとワクワクしています。
二つ目は講演などに行って帰った時財布から千円を取り出して大きな缶詰風な貯金箱に八折にして入れるのです。これは私がまだ元気で若かった頃、一ヶ月に10日間お酒を止め、止めた日に千円の貯金を10日間、つまり一ヶ月で1万円貯まる計算をした健康目的貯金の名残です。その後体調を崩し酒を止めたのでこの目的貯金は止めましたが、当時が懐かしくなって始めました。昨年の年末に一杯になって入らなくなり缶切で開けてびっくりしました。何と8万5千円も貯まっていたのです。このお金は夫婦の旅行に使おうと考え妻に渡しましたが、結局妻はは年末年始の雑用費に使ってしまったようです。でも正月の費用が思った以上にいったので、妻は大助かりのようでした。ちなみに私の酒を飲まないで貯めたお金は10年で120万円も貯まって、人間牧場の建築資金になったのですから嬉しいとしかいいようがありません。
三つ目は菓子箱ガムテープで封をしただけの手づくりした私のへそくり貯金箱です。これは私の出版した本が売れる度に入れています。そんなに多くはありませんが、それでもまとめ買いしていただいた時等は30冊も売れることもあり、大助かりで、これも緊急の出費に使います。先日長男息子があべまりあさんの絵が欲しいといってここから10万円を支出しました。実はこの貯金箱が人間牧場の建築費として大活躍してくれたのですから私にとってはまるで玉手箱のような面白い貯金箱なのです。
お金はこのように目的を持つと貯まるし、何気なく貯めると何気なく貯まるものなのです。なさそうであるのかお金、ありそうでないのがお金といわれるように、私たちの身の回りは常にお金がつきまとっています。しかし昔からお金のことをいうのは汚いことであって、余り口に出してはいけないような風潮があるようです。
金田一秀徳さんが書いている本の中でお金の話がありました。「お金には別称が多い。ちょっと思いつくだけでも『おあし』、『おぜぜ』、『ぜに』、『お鳥目』。払うときの『お勘定』、『お愛想』、『お代』、『清算』など、日本人は何とかして『お金』という言葉を使わないように、使わないようにしているとしか思えない、更に『~代』、『~金』、『~料』、『~賃』などの接尾語がある。-中略ー、このよにして、用途が限定されているのか包括的なのか、また金額に相場があるのかあってないようなものなのか、手に入れられるものが有形なのか無形なのか、というようなことを考えて、お金について表すべきことばが決まっている。こんな複雑極まりないことを日本語にさせるのは、お金に魔力があるに違いない」と述べています。
確かにお金には不思議な魔力があるようです。
「貯金箱 竹で手づくり 懐かしく 思い出される 少年の頃」
「俺の部屋 だけでも三つの 貯金箱 金がないのに いつしか貯まる」
「金のこと 言うなと親に 教わった だけど言わずば 仕事にならぬ」
「あいまいな 言葉で濁す 金のこと だからあいまい お金でトラブル」