人間牧場

〇妻の実家のお墓参り

 わが家から妻の実家のある八幡浜までは、海岸国道378号を走ると、佐田岬半島のつけ根に掘られた2000m級の長いゴゼヶ峠トンネルのお陰で、1時間弱で行けるようになりました。帰りに夜昼トンネルを通って大洲経由のルートを通ると、瀬戸内、宇和海、肱川など四季折々の風情が楽しめ、まるで小旅行にでも出かけたような気分になります。

 特に大洲経由の道を通る度に思うのは、私と妻が結婚した50年前は道の整備が進んでいなかった時代の嫁入りのことです。結婚する前年難所だった夜昼峠にトンネルが開通したため、妻は八幡浜の実家で花嫁衣装を着け、タクシーで下灘のわが家へ嫁いできましたが、特に大洲~長浜~下灘間は曲がりくねった悪路と踏切に悩まされ、今の倍の2時間も時間がかかり、生きた心地がしなかったと妻は今でも述懐しています。

 妻の実家のお墓は、八幡浜市街や八幡浜湾を一望できる、大法寺という臨済宗のお寺の境内にあり、結婚以来50年間お墓参りに出かけていますが、墓地ながらすこぶる眺望の良い場所にあって、私のお気に入りのスポットです。墓地から見える愛宕山付近に妻の母校があったそうで、幸いにも戦災に遭わなかったため古い町並みが残っていますが、商圏は郊外へと移り商店街の人通りも少なくなって寂しさは隠せません。

「お彼岸を 前に実家の 墓参り 急な石段 妻と二人で」

「50年 前に結婚 した頃は 道幅狭く 式の当日 死に物狂い」

「縁あって たった5分の 見合い決め あれから50年 良くも悪くも」

「墓地遠望 大好きスポット 見下ろしつ 時の流れの 早さ驚く」

 

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