〇美味しい紅まどんな
誰が言い始めたのか分かりませんが、「とろけるような食感はまるでゼリー。みかんの形をしたスイーツ。愛媛の貴婦人」とまで形容されている「紅まどんな」という柑橘が、数年前から話題になっています。八幡浜や吉田といった超一級のみかん産地ではないにしても、これまでみかん産地として長い歴史を持ったわが町に住んでいると、大谷イヨカンや極早生みかん、晩柑類など様々な話題の柑橘に出会って食べてきましたが、「紅まどんな」という品種は少し様子が違うようです。
昨日の夕方妻が、大事そうに白いナイロンの袋に入れた、4個のみかんを持ち帰りました。友人からいただいた紅まどんなだと聞きましたが、早速仏様に備えた後、鐘をチーンと鳴らしてお下がりをいただき、孫たちに2個、私たちが2個それぞれ分け合いました。
妻は食卓にその一個を半円形状に切って皿に盛り、ダイニングの机の上に飾ってくれました。これぞオレンジ色といわんばかりの紅まどんなは形容通り、ぎっしり詰まった果肉がまるでスイーツのような輝きでした。食事が終わり早速食べてみましたが、とろけるような瑞々しい味でした。「これが一個500円以上、高いものだと1個1000円」と聞いて、余計美味しく感じました。
紅まどんなは「南香」と「天草」という品種をかけ合せ、10年の研究の末愛媛県果樹試験場で生まれた品種です。したがって特許権が愛媛県にあるため、「紅まどんな」という名前で勝手に販売すると、特許権侵害で法に触れるため、「姫まどんな(ヒメマドンナ)」や別の名前で、既に水面下では出回っているようですが、一つの木に実がなるまでに5年かかり、こんなに手間のかかる品種はないと農家の人はいっています。果実は200g前後、果皮は薄くなめらかで濃い紅色、果肉はとても柔らかくて食べやすく、形容の言葉通りの味でした。
紅まどんなはこの頃から収穫し12月に贈答用として出回るため、今のところ高値で販売されていますが、これも希少価値があるからで、大谷伊予柑がそうであったように今後どうなるのか、農家の心配の種は尽きないようです。
私の友人にはみかん農家が多いので、その時期時期の柑橘類をお裾分けのような形でいただきます。今は極早生が終わって早生みかんが主流ですが、何だかんだといいながら食べやすくて美味しいのは、やはり早生や晩生の昔ながらのみかんが一番だと思うのです。わが家の家庭菜園にも晩生のみかんが実をつけています。正月前には収穫して美味しいみかんを味わいたいと思っています。
「マドンナや 清見・晴美と 女性名を つければ売れる 柑橘事情」
「紅濃いく 果汁ジューシー 文句なし 贈答品に ぴったり高価」
「美味くても やはり普通の みかんいい そんな言い訳 貧乏故に」
「柑橘に 囲まれ暮らす いい場所に 住んで何より 幸せ思う」