人間牧場

〇遠い情報は知っていても近い情報を知らない

 熱狂したアメリカ大統領選挙も、オバマが接戦の末ロムニー候補を破り再選されました。プロ野球では読売巨人軍がセリーグ、日本シリーズを連覇して日本一になりました。また日馬富士が2場所連続全勝優勝して第70代目の横綱となり、その大相撲一年納めの九州場所も昨日開幕しました。最近は平成の大合併で再編された県下の首長・議員の選挙も軒並み行なわれ、当選や落選の一報が入る度に、ごひいきや支援の人間模様もあって一喜一憂しています。特に年輪塾のメンバーである友人の首長選落選は、友人や家族のことを思うと、何もしてあげれなかっただけに心が痛んでなりません。願わくば新しい方向に向かって力強く生きて欲しいと願っています。

 私が会長をしている公友会の副会長であった菊地邦求さんが、昨年のこの頃不慮の事故で亡くなったため、副会長が欠員となっていて、総会で鬼北町の西村司郎さんに後任をお願いすることで、会長一人を取り付けていたので、昨晩彼の元へ電話を入れました。彼の話によると3年前にリタイアしてから好きな釣り三昧な暮らしをしていたようですが、最近週に3日程度アルバイトに行くようになったと近況を話してくれました。彼は数年前内臓を患いましたが、術後の回復も順調で大好きな酒も復活したようで何よりですが、快く私の申し出を聞いて副会長就任を引き受けてくれ、何はともあれホッとしました。

 西村司郎さんに菊地邦求さんの事故や葬儀のことを話すと、その話は初めて聞いたと驚いていました。遠い海の向こうアメリカの、縁もゆかりもないオバマ大統領のことは毎日のように情報が入るのに、僅か100キロ以内の鬼北町に住む仲間が、仲間の死さえ知らなかったことを思うにつけ、遠くが近く近くが遠い情報の切なさを垣間見るのです。
 先日私のブログで紹介した、目と鼻の先の離島に住んでいる友人のご主人の訃報もこれと同じで、私の元へ風の噂として辿り着いたのは約半年後でした。

 便利さや情報化社会の中に生きていると、こんなミスマッチは日常茶飯事で、近所はもとより、同じ敷地内の隠居に住むに親父の様子でさえ、この一週間まったく知らずに過ごすことだってあるのです。私たちの暮らしは車やインターネットの普及で随分便利になり、遠い情報を手に入れれるようになりましたが、歩くことを忘れたり、顔を見て言葉を交わし合うことの大切さを忘れてしまったようです。
 車もインターネットもさして必要のない老域に差しかかりつつある私も、これからはそのことに配慮しながら、歩いたり顔を見ながら会話するような、穏やかな余生を送りたいと思っています。

  「オバマ勝つ 知ってはいるが 同じ家 住んでる親父 さえも知らずに」

  「顔も見ず 風の噂を聞く耳も 役に立たずに 日々を生きてる」

  「もう少し すれば私も 仲間入り 井戸端会議や ゲートボールに」

  「このところ ネットで遠い ことばかり 近い話を 聞く耳持たず」

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