○気になる梅干しの塩分
私は殆んど毎日梅干しを一個食べていますが、「そんなに食べて塩分の取り過ぎじゃないの?」と時々言われます。確かに普通の梅干しは20パーセントの塩分を含んでいて、小さな一個の梅干しでも2グラムの塩分があるのですから、やはり気になるのは当たり前です。梅干しに塩分が必要なのは、塩分の浸透圧によって青梅を成熟させてくさらせてしまう酵素を失活させ、腐敗を防ぐのです。塩分を少なくすると、その腐敗防止の役割が低下してカビが生えてくるため、昔から梅干しは長い間20パーセントというのが常識だったようです。
最近スーパーや通販で8パーセントとか中には4パーセントという、信じられないほど減塩が売り物の、梅干しを売っていますが、これは20パーセントで漬け込んだ白干し梅を塩抜きして、調味し直したもののようです。減塩処理は塩だけでなく、水に溶ける成分が全て塩と一緒に抜けてしまいます。梅のエキスに多く含まれるクエン酸や身体にいい成分が失われた梅干しは保存が利きにくいため、保存料を加えなければならないため、脱塩によっていい物が失われ、不用なものが増えいるということを、知っておかなければなりません。もうひとつ、梅には本来カリウムが豊富に含まれていて、余分な塩分を身体から排泄する働きがあるのですが、これも水溶性のため塩と一緒に抜けてしまうのです。つまり梅干しを食べて体に残る塩分をプラスマイナスすると、数字で見るほど脱塩の効果はないことになるのです。
わが家でも減塩梅干し作りに取り組んでいます。わが家では祖母の時代には25パーセントの梅干しを作っていました。さすがにこれは塩辛いので、17パーセントから18パーセントの塩に漬け込み、その分漬け込んだ梅にカビ防止用として、ホワイトリカーのアルコールを振りかけて、ナイロン袋で密封します。お陰様で少しだけではありますが減塩気味な梅干しが、昨年に続いて今年も出来上がりました。梅干しは紫蘇という天延色素を持った紫紫蘇を使うと、仕上がりが一段と綺麗です。菜園に植えた紫蘇を刈り取って塩揉みすることはさすがになくなり、今は塩揉みした紫蘇を仙波青果で買い求めて使いますが、この紫蘇を刻んでご飯に混ぜたゆかりのおにぎりは美味しくて、食欲をそそるのです。
先日テレビを見ていたら、梅干しを食べる人は食べない人に比べ、ガンになりにくいという実証実験の結果が報告されていました。人は誰でも手前味噌な考えになるもので、この話を聞けば梅干しを食べている私のような人間は喜ぶし、塩分の取り過ぎがとやかく言われる成人病の人は、梅干しを仇のように言う人もいます。まあ程々が丁度良いのかも知れませんが、私は梅干し推進派なので今朝も梅干しを一個食べました。
昔アルミでできた弁当箱にご飯を詰め、その真ん中に梅干しを入れたものを日の丸弁当と呼んでいました。長年同じ場所に梅干しを入れた弁当箱の蓋は、梅干しの酸で溶かされて、穴が開いた正統派の愛妻弁当箱をよく見かけたものですが、それも古きよき時代の思い出となってしまったようです。
「梅干しは 身体にいいと ばあちゃんが 言ってた言葉 今も忘れず」
「一日に 一個梅干し 俺食べる 自分と妻で 手作り梅干し」
「減塩の 梅干し確かに 口当たり いいのだけれど 防腐剤入り」
「孫二人 俺に似たのか 梅干しを 食べる習慣 直すべきかも」