○県外で私の話題が一人歩き
私の行動範囲も、役場を退職して自由人になったことをいいことに、今では北は北海道から南は沖縄まで全国へとどんどん広がっています。今のところ気力も体力も充実していて、それはそれとしていいことに違いはないのですが、いかんせん知力が今一で、講演やコーディネーター、パネラー、助言者などなど、その役割に応じて下調べをする時間が増えて、書斎へこもる時間が長くなっています。私の場合「学歴を求められたりレジメの提出が必要な所へは行かない」ことを今も貫いているため、下準備にそんなに時間をかけてはいませんが、歳を経てくると「何を話そうか?」と不安になったり、「失敗はしたくない」という思いが頭を持ち上げてくるのです。結局は今までの悪い癖が出て、その殆んどをアドリブでこなしてしまうのです。
例えば中四国や九州など隣県と思われる県外に講演に出かけると、決まったように一年以内にその研修会に参加し私の話を聞いた人から、講演のオファーがかかるのです。これも講演の反応や成果ですから、喜んでお引き受けするのですが、中には「いいお話でしたので是非わが町わが団体でご講演を」の依頼の最後に「お金がないので講演謝金は余り出せない」と言い訳のくだりが待っているのです。その言い訳を聞きながら「いいですよ」と言わざるを得ませんが、「お金がないのであなた程度で折り合いをつける」と聞こえなくもないのです。
それでも企画段階の打ち合わせ会や呑み会で、私の話題が一人歩きしていることも事実で、そろそろ引き時と思うこの歳になっても、私の行動範囲は相変わらず広がりを見せているのです。
昨日は岡山県から田辺靖博さんという社長さんが一人で、人間牧場へ私の話を聞きにやって来ました。この方は飲食事業やフラーワー事業を手広く手掛けていて、「自分の定休日が木曜日なので、そちらへ伺うから人間牧場で是非話が聞きたい」言うのです。岡山からだと3時間はかかると逆算して、午前7時に出れば10時には間に合うと思い、「午前10時にシーサイド公園で会いましょう」と約束しました。勉強に来る人の鉄則は少し早く来る」ですが、田辺さんは30分前にやって来て下灘駅やシーサイド公園を一巡していました。さすがです。私も30分前にシーサイド公園へ行き、じゃこ天のお店で4日後に迫った女性起業家リーダー研修の打ち合わせを、田辺さんの来訪を気にしながら、会長である小西千鶴子さんと行いました。
私の軽四トラックに乗せ人間牧場へ到着後は、天候が良かったこともあって、ウッドデッキに背もたれ椅子を二脚用意し、二人で人間牧場の特徴である海と空を見ながら、色々な話を思いつくまま2時間ばかりお話しました。田辺さんとは今回の出会いは二度目です。何ヶ月か前私にアポもとらず駄目もとでやって来て、僅か10分足らずシーサイド公園で立ち話をしました。その時聞いた話によると、彼のお店に来たお客さんが、「愛媛には珍しい生き方や考えを持った若松さんという人がいる」と噂話をしたようで、その話に釣られてやってきたようでした。その時「必ず近々」と約束し今回の再会となったのです。
田辺さんの熱心さには負けてしまうほどの向学でした。私も釣られて色々のことを話しました。午後の予定があるので12時過ぎに分かれましたが、いつかお店に呼びたいと再再会の約束をさされました。
「県外の あちこち私の 話出る 時には飲み屋 知らぬお客が」
「定休の 時間を割いて 勉強に たった一人で 見上げたものだ」
「背もたれの 椅子に座りて 海空を 見ながら話す 思いつくまま」
「人に会う ただこれだけで 異文化を 感じることが できる幸せ」