人間牧場

○カブト虫の養殖

 今も昔も子どもたちに絶大な人気を誇っているものといえば、カブト虫やクワガタという小動物です。私たちが子どものころは、遊び道具とてなかった貧しい時代でしたから、その頃は薪や木炭の原材料として使う、クヌギ林が至る所にあって、子どもたちは早朝早起きをして、クヌギの木の根元に樹液を吸いに群がるカブト虫や、クワガタを探しに出かけたものでした。捕獲したカブト虫やクワガタ、はこれまた今のような虫篭もなかったので、親父に作ってもらった虫篭やリンゴ箱に入れ、甘味として貴重な砂糖や蜂蜜を自分でなめもせず、カブト虫やクワガタに与え、それは大事に育てたものでした。

 学校から帰るとカブト虫やクワガタを持った子どもたちが、とっておきの場所に集まり、自分のカブト虫やクワガタを自慢しながら見せ合い、板切れで作った小さな土俵の上で、喧嘩や相撲をさせるのです。勝ったり負けたりする度に、歓声や落胆の声が上がり、子どもワールドに時には大人も参加して、見守っていたのです。そんな懐かしい時代を経て現代を迎えていますが、今は子どもたちに「カブト虫はどこにいる?」と訪ねれば、「クヌギ林」と返って来るだろうと思いきや、「デパートの○○階」と答えるほどで、デパートの玩具売り場には、「ヘラクレス」などといった外国産の、いかにも強そうな黒光りのするクワガタが、子どもの小遣いでは手の届きそうにもない高価な値段で販売され、ネット通販でも容易に手に入るのです。

 友人から何年か前ポリ容器に入れられて、カブト虫の幼虫が人間牧場へやって来ました。いわゆるカブト虫の養殖のためです。しかし夏場の忙しさにかまけて対応することができず、全滅の憂き目に会いました。その後もサツマイモの苗床で見つけた幼虫をポリ容器に入れて養殖を試みましたが、残念ながら成虫に孵すことは出来ませんでした。今年からサツマイモの苗床を自宅の家庭菜園に移したのを機に、旧苗床に防虫ネットを張って、カブト虫を養殖しようと思い始め、先日松前町の農材スーパーで防虫ネットを買い求めてきました。息子嫁に頼んで6メートルの長さを半分に切ったものを、ミシンで二枚縫い合わせてもらい3メートルの巾にしてもらいました。

 昨日は台風で予定されていた講演が延期となったため、その防虫ネットを苗床に張る作業を午前中行いました。苗床は6年も使っているので、周りを囲っているベニヤ板が風雨に晒されて腐っているため、防虫ネットを張る作業は不器用さもあって、容易ではありませんでしたが、まあ何とか格好がついたようです。若しこれでカブト虫の養殖に成功して、成虫の確保が出来るのであれば、来年は囲いを一新して養殖場を作りたいと思っていますが、はてさて上手く行くかどうか、心配の種がまた一つ増えました。
 孫たちはカブト虫の養殖が出来るかも知れないと、早くも夏の来るのを心待ちにしているようです。

  「牧場の 芋の苗床 カブト虫 養殖場に 早代わりする」

  「防虫の ネットミシンで 縫い合わせ ひとまず作戦 これでOK」

  「今頃は カブトの居場所 デパートと 答える子ども 時代変わった」

  「カブト虫 運よく育てば 子ども夢 叶えてやれる 淡い期待を」

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